「俺、円堂さんに負けません」


とか何とか、突然冒頭のように話を振られたから困ったものだ。ぽかんと口を開ける私と対照的に目の前の立向居勇気くんは西日に顔を照らされながら、どんな理由であれ真っ赤になった顔で私を見つめていた。


「ゴッドハンドもマジン・ザ・ハンドもムゲン・ザ・ハンドだって!全部完璧にしてみせて、いつか円堂さんに追いつけるくらいすごいキーパーになって見せます!ミッドフィールダーだっただなんて思わせないくらい頑張ります!」
「…はあ」
「もちろん健康管理だってばっちりします!風邪もひかないし、睡眠時間は守りますし、トイレだって我慢せずちゃんと行きますし、ご飯もちゃんと食べます」


いやあそれは良い心がけだ。うんうん。ってそういう問題じゃなく。何故彼はただの雷門中のマネージャーである私にこんなことをわざわざ宣言しているんだろう。ああそうか、誰かに宣言した方が後に引けないから私に言っているのか。逃げようとした時に「あの時私に宣言したじゃない!」と言ってもらえるようにしているのか。なるほど、頭のいい子だ。私は勝手に脳内で決定するときちんと立向居くんの顔を見た。


「え、円堂さんだけじゃなくて、他のどんな男の人よりっ…か、かっこよくて、魅力的な男になります」
「…う、ん?」
「あっ、円堂さんよりっていうのは少し図々しいかもしれませんけどっ…で、でもそれくらいの心意気で頑張ります、から!」


途中からおかしな宣言が混じってきたぞ?と首を傾げるや否や、私の肩を立向居くんの手ががっしりと掴んでその真剣な顔を少し近づけた。西日が彼の背中に隠され、私は影に覆われる。なんだなんだ、なんだ。


「だから、みょうじ先輩」
「は、はい、」
「円堂さんとじゃなくて、おっ、おれっ…俺と、付き合ってくださーい!!」


目の前で叫んだ彼の声は嫌でも私の耳に届いて、鼓膜を大きく揺らす。あまりに大きな声だったからか目が回りそうになりながらもその言葉の意味を理解しようと上手く働かない思考を頑張ってフル活用した。
立向居くんは円堂くんを超えると私に宣言した。立向居くんは健康管理に気をつけると宣言した。立向居くんは他のどんな男の子よりかっこよくて魅力的な男の子になると宣言した。立向居くんは円堂くんよりかっこよくなる心意気で頑張ると宣言した。立向居くんは私に付き合って欲しいと宣言した。え、それってつまり、



告白だったりします?

(せ、せせせ、先輩!へ、返事は…っ)
(ねえ、もう一回最初からお願いできる?)
(え!なんでですか!)



100105/宣誓!

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