あくまでも、女の子はわたしの方だ。
それなのに目の前の彼はその常識を覆すが如く、ふわりと笑ってみせる。
くらり、と、眩暈を覚えるほど、亜風炉照美は美しかった。


「照美、なんで照美はそんなに綺麗なの」


照美の頬に触れながら、私は小さく呟く。あ、睫毛長い。そう思っていると私の手が彼の大きな手に包まれた。
(ああ、こういうところは、男の子なんだ)


「僕は美しいからね」


然も当然のように言うものだから(まるでヒヨコは鶏の子だよ、とでも言うように)、私は可笑しくて笑ってしまう。やっぱり照美には適わないなあ。それに続く「でも」といった中性的な声。不思議に思って軽く首を傾げた。


「なまえ、君も美しい」


にこり、と効果音がつくかのような、素敵な笑み。
他の人が自分で自分のことを美しいとか言ってたら自己陶酔しすぎだと貶すんだろうけど、照美が言うとそうは聞こえない。惚れた弱み?ううん、そんなのじゃなくて、本当に、誰が見てもきっとそう思うんだ。
そんな彼に美しいって言ってもらえるだなんて、と、私は目をぱちくりさせる。
空いている照美の手が、優しく私の髪を撫でた。


「綺麗で、美しくて、僕の大切な人だよ」
「、え」
「愛してる、なまえ」


そうして唇に柔らかいものが触れて、



わたしはまた、彼に恋をする


「照美、」
「うん?」
「わたしまた、照美のこと好きになっちゃった」








***
照美好きだけど難しいですよね。



091122/わたしはまた、彼に恋をする

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