※吹雪士郎
※名前変換無し、ヒロイン死ネタ






「か、は」


ああ、愛しい。苦しい。色々混じって、おかしくなってしまいそうだ。好き、好き、好きだよ!こう伝えたいのに、どうしてわたしの唇は動いてくれないの?
ねえ、吹雪くん。


「僕は…必要、ない。士郎もアツヤも、いらない」


涙を流しながら独り言を呟く吹雪くん、わたしの愛しい人。そんなことないよ、わたしは、あなたしかいないんだよ。なんでわたしの身体は使えないのかしら、ほんと、バカみたい。
でも、愛しい吹雪くんと、二人きり。幸せだわ。


「ふぶ、き、く」
「僕には君しか、いないんだ」
「ッ、あ」
「君にだけ、必要としてもらえれば」


ぎりり、
嫌な音がした。酸素が欲しい、どうして吹雪くんは、わたしにキスしてくれないんだろう。そしたら幸せなのに。きっと苦しみなんて感じないくらい、幸せなのになあ。
そういえば、今は士郎くん?それとも、アツヤくんかしら。まあ、どっちでも、わたしの愛しい吹雪くんに違いはないんだけどね。
雪みたいに真っ白な腕、細くて、綺麗な指先が私に触れてる。わたしの大好きな、吹雪くんの手。普段はわたしより冷たいのに、今日は吹雪くんの方が温かいね。とっても、温かい。
わたしの首を絞める吹雪くんの手から、どちらのものかわからない鼓動が聞こえてくる。
吹雪くん、ねえ、吹雪くん、大好きだよ。


「好き、だ」


吹雪くん。わたし、吹雪くんしか欲しくないよ。他のものなんていらないの。
世界が、あなたと私だけならよかったのにね。
そう思いながら、フェードアウトしていく意識の中、そっと温かい吹雪くんの頬に触れる。涙を拭うようにすると、わたしの大好きな吹雪くんの両目が大きく見開かれた。驚いたような表情も、好き。
あ、両目の色が違うね。士郎くんも、アツヤくんも聞こえてる?


「愛…して、る…よ、ふぶ、き、く」


さよならしたくないなあ、あ、でも、吹雪くんになら、わたし、殺されてもいいよ。
だって、大好きだもん。







「――は、はは」


動かなくなった彼女の身体を、僕はぎゅうっと抱きしめた。なんて可愛いんだ、愛してるなんて、ふふ、僕も同じ気持ちに決まっているだろう?ああ、好き、好き、愛しいよ、君が。
アツヤもそうだろう?彼女以上に愛しくて可愛くて、隣にいて欲しい人なんか、他にいるはずない。いや、絶対いない。アツヤも彼女が好きだもんね?でもこれで、僕らだけのものだ。
彼女は僕らを必要としているよ、はは、必要ない、なんてことないじゃないか。ちゃんと存在価値がある。よかった、ああ、よかった。士郎もアツヤも、ちゃんと必要とされてる…。

だって、僕らが彼女を必要としているように、


「これで君は…僕らだけを必要としてくれるね」


さあ、眠り姫に王子様からのキスを。


091122

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -