今日はラビの誕生日らしい。リナリーがさっきニコニコしながら教えてくれた。私はそうなんだ初めて知ったよ。と、大して興味無さそうにぽつりと呟いた。

初めて知った?んなわけねぇ。私の想い人であるラビの誕生日を忘れるはずがない。私はわざとラビの誕生日を知らない素振りをリナリーに見せた。

なんでかと云われると、私の性格上リナリーみたいに素直で可愛い女の子じゃない。かと言ってミランダみたいに見ててほっとけないような女の子でもない。つまり、私は意地っ張り女というわけで。そんな意地っ張りな私はラビの誕生日を素直におめでとう、なんて恥ずかしくて言えるはずがない。でも大好きなラビにはおめでとうって言いたい。

げ、今私ってばラビのことす、好きって心の中で言っちゃった。いやもしかしたら口に出てたかもしれないそんなこと周りにバレたら消えたくなる。好きなんかじゃない好きなんかじゃない私はラビのことなんか好きなんかじゃ、




「だからはっずかしいわ!」

「何が?」

「きゃあ!ララララビ!?」

「すげー声」





談話室で悶々としながら頭を抱えていたら後ろからラビが私の耳に息をかけるように耳元で囁いた。耳の弱い私は体中がぞわりと虫が這うような感覚を覚えた。

ラビはひょいと私が腰掛けていたソファーの右隣に座ってにこにこと笑う。






「なん何でアンタここにいんのよ出て行きなさいよ」

「談話室は公共の場なんだからいいだろー。で、何が恥ずかしいんさ?」

「アンタには関係無い」

「ふぅーん?へぇー?」




目を泳がして答えれば、ラビは口元を緩ませてなんとも厭らしい顔をしてやがる。くそうそんな顔まで格好いいだなんて、くそくそ!あああ顔近いし近寄るんじゃないわよわあああ。






「なぁなまえ、さっきからすげぇ顔赤いぜ?」

「気、のせいじゃないの?ただちょっと暑いだけよ」

「そうかぁー?なんかオレがなまえに近付く度赤くなってる気ぃするけど?」

「気のせい。いい加減離れろ!」

「いでっ!」





迫るラビを拳殴る。勿論ラビは痛いだろうが私の右手も痛い。不可抗力だ今かなり近かったもの。キスされるんじゃないかってぐらいにね。全くふざけんのも大概にして欲しい。

何処となく熱を持った顔をラビに見られないように俯いた。





「………」

「なーに俯いてんさ」

「俯きプレイ堪能中よ邪魔しないで」



ラビと距離を図って殴ったというのにまた定位置に戻る。自分の心臓がうるさい。うるさすぎて泣きたくなる。色んな意味で限界に達しそうだ。このまま逃げ出してやりたい。






「……」




いや、待てよ。

誕生日おめでとうって言うなら今がチャンスなんじゃないの。今日の談話室は任務に行ってるせいか人の数も少ない。今言わなきゃ絶対損、する。言わなきゃ後悔しそうな予感。

なまえは顔を上げた。




「えーとラビ」

「俯きプレイは終わったんか」

「今は、ね。えーとね」

「んー?」

「だから…、…」





言 葉 が 出 ね え 。

言わなきゃ、言わなければ。
喉を上下に鳴らしてラビの胸あたりに視線を泳がせる。







「お、誕生日おめでと」






恐る恐るラビの顔を見てみればニィっと笑みを浮かべて私にかかる髪を耳にかけて小さく囁いた。





プレゼントはお前がいいんだけど?

予想通りと思わんばかりになまえの顔は真っ赤で。ラビはそれが面白くて喉で笑った。




FIN