「よしっ決めた!私神田と結婚するわ!」
「は?」
只今任務真っ只中。
回収するはずのイノセンスは見つからず、今日でこの任務は三日を過ぎようとしている。疲れのせいで頭がおかしくなったんか?
いきなり吐き出された言葉に思わず耳を疑った。まさかの結婚宣言。よりによって相手はユウかよ。ってツッコミ所はそこじゃなくて、
「お前の彼氏はオレだろ。何でユウと結婚なんさ」
「え?だってラビは遊びだもん!」
「何お前遊びだったの?」
「しまった!口が滑って……(モゴモゴ」
「…………」
コレは新手の冗談なんか?しかも遊びって、一年以上も付き合って今更遊びでしたとかすげぇタチ悪ぃんだけど。
「まじで遊びだったん?」
「……えーとチガウヨ?」
「オイそこ片言さ」
「違いマス!全然違いマース!」
「だから片言だって言ってんだろ」
あ、何か目から水が出てきた。うわしょっぱい、コレ涙さ。何だよなまえの奴、遊びってなんなんさ。
オレの何が悪いんさ。顔良しスタイル良し、性格は明るい。悪い所なんか無ぇじゃん。
※任務そっちのけ
「嘘つくの止めて下さい。ラビタラシの癖に」
「うっ、」
「すぐストライクする癖に」
「…い、いやそれは、」
「好きなタイプが未亡人だし」
「それも関係あるんだ一応」
好きなタイプと好きな人は違うもんよ?誤解はしないで欲しいさ。
そう言ったら白い目で見られた。
「お前…今までオレの悪い所なんか言った事なかったよな」
「我慢してました」
……いけしゃあしゃあとコイツは…。
呆れて物も言えないとはこの事さ。
「神田ってラビと違って女タラシじゃ無いし」
「ユウはただ女に興味無いだけさ」
「え?死ねよ」
「死ねよ!?」
爽やかな笑顔で死ねよかよ。 死ねよと言われたのは初めてだ。軽くショックを受け頭を抱えた。
「てなわけで、ラビと過ごした日々は楽しくなかったけどとても楽しかったよ」
「どっちだよ」
「まぁ微妙って事かな★」
「語尾に★をつければ何でも許されると思ったら大間違いだっての」
なまえの額をバシッと叩いてやれば「痛いわね!」と睨まれた。どんなになまえが睨んでも上目遣いにしか見えない。
あ、今の顔可愛い。
そう思ってしまうオレは重症かもしれない。
「じゃあ今日神田にプロポーズするからっ」
「ちょ、待てって!お前本気なんか?」
「…本気ですけど……。だから手、離して」
「……手?」
自分の手を見れば知らず内になまえの手を握っていた。
「あー、あんな」
「何よ」
「これからはもっと頑張るさ」
「何を」
「だからストライクとかしないようにするさ」
「無理に決まってるでしょ。馬鹿ですかテメェ」
重々しいため息を吐き出した。
オレの決意を一瞬でブチ壊しにすんな。少しは空気を読んで欲しいさ。
「努力すっから、だからユウのとこに行くなよ」
「えっ」
「オレにはなまえしか居ないんさ、なまえだけが大切なんだよ」
「ドっキーンっ!…ふ、ふんっそんなの通用しないもん!」
よし、オレに傾いてるな。 あともう一押し。
なまえの両肩を掴み顔を近づけた。
「オレにはなまえだけが必要なんさ」
にっこり笑ってやればなまえの顔は林檎の如く真っ赤になった。
よし、成功さ。
「はっ、恥ずかしい奴!」
「おー褒め言葉」
「うざ!!」
真っ赤な顔で悪口言われても説得力無ぇな。
掴んでいた肩から手を離し、喉でクックッと笑えばなまえ面白くなさそうな顔をした。
「もうユウと結婚するとか言わないよな?」
「ラビの態度によるかな。もし改めなかったらリナリーに言い付けて男のシンボル蹴り上げてやるから」
「まじで努力します」
こうして二人は別れずにすんだらしい。
彼女の別れたい理由
(そういや私ら何しに来たんだっけ?) (イノセンスの回収さ。さっさと終わらせようぜ) (はーい)
FIN
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