戦争なんて誰が作ったの。








「何泣いてるんさ」

「別に…泣いてないし」







自室のベッドの上で涙を流していたらドアに寄りかかってにっこり笑っているラビが居た。

ほっといてよ、今は一人で居たい気分なんだから…。なんでラビは私の自室に勝手に入っているんだ、仮にも女の子よ私は。






「言っておくけどオレはちゃんとノックしたぜ?でも返事が無かったから開けさせて貰ったんさ」







入るな、帰ってよ。

心の中で悪態をつく。涙はまだ止まらないまま。嫌だ、泣いてる姿なんて見られたくない。
ラビに泣き顔を見られたくないがため枕を顔に押し当てる。







「任務が原因?」

「!」




するどい。
ラビは勘がいい。些細なことでもすぐに気がつく人間だ。

ピクリと肩を動かせば当たりか、と言って私のベッドに近寄る。そして押し当てていた枕を優しく取り上げた。






「か、っ返してよ」




手を伸ばしたが座っている私では立っているラビから枕を取り返す事が出来なかった。

伸ばした手はラビに掴まれ、ラビは私から奪い取った枕をベッドに置いてもう片方の手で頬を撫でられた。









「何、すんのっ」

「いいかなまえ、これは戦争なんさ。だから犠牲はつきものなんだよ」






その言葉に胸がぎしりと痛んだ。犠牲はつきもの。勝つためには何かを犠牲にしなければいけない。

誰かの命だって犠牲にして。







「任務で、ね」

「うん」

「任務で人がたくさん死んじゃったの…。ファインダーも村の人も。アクマと闘えるのは私しかいなかったのに。私が守らなきゃいけなかった、のに」





犠牲になったのだ、彼らが。戦争なんかのせいで、尊い命が消えてしまったのだ。

涙は先ほどより溢れてラビの手を濡らした。







「それは仕方ないこと、さ」

「仕方ない、なんてそんな簡単に言わない…で、」

「でもお前は生きてるだろ」

「…、」

「頑張るしかないんさ。そいつらの分まで生きろよ。辛くても生きるしか他ないんだよ」

「らび」

「肩くらいならいつでも貸すから、さ」







そう言ったラビの声はどこか弱々しく感じてラビの優しさにまた胸が痛んだ。頬を触れていたラビの腕を掴んで憂いた顔をする彼を見上げた。






「ごめんねラビ、ごめんね」









一人じゃ立ち上がる事が出来なくて、私はいつも誰かの力を借りてばかり。弱くてごめんね。





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