ただいま任務中。
イノセンスは無事確保したが、一緒に居たラビがいない。猫に喰われたティムキャンピーを追うために周辺を探している。私らは暑い砂漠のど真ん中でラビの帰りを体育座りをして待っているのよ。せっかくイノセンスは確保したのに。こうなったのはティムの飼い主であるこの白髪のせいだ。飼い主しっかりしろよ。全くとんだ災難だこの白髪野郎。
喉まで出掛かった言葉を押し込み、アレンに聞こえないようにため息をついた。
「どうしてくれるんですか、貴女のせいでとんだ災難です」
「その台詞アンタにそっくりそのまま返すよ」
「まさか人に罪をなすりつけるんですか」
「え?まさか自分のせいだと思ってない?え?まじで?」
至極迷惑そうな顔をしてアレンはなまえに毒を吐き出した。なんとこのモヤシ私に罪をなすりつけるではないですか。なんて奴だよ。アレンは私より大きいため息をついて頭が弱いって困りものですね。とか云って鼻で笑いやがった。…て、てんめえ。
「暑い暑い暑い暑い暑い!アレン暑すぎて私死ぬかもしれない、しかも喉乾いた」
「そうですかそれは大変」
「なんで一人で水飲んでんの!ちょうだいよ」
「貴女と間接キスとか無理なんで断ります」
「間接キスなんて今はどうでもいいよ!喉乾いたんだからちょうだいよ!」
「うわあビッチ」
「誰がビッチよ!!」
誰だったかなこいつのことを紳士とか言った奴。この人紳士の欠片もないよエクソシストの皮を被った鬼だよ。モヤシだよ。
結局アレンは水を欲する私の目の前で全部飲み干してしまった。鬼畜以外何者でもない。
「ラビ遅いね」
「だから貴女がティムを逃がしたのがいけないんですよ。全ての原因はなまえ、悪いのはなまえ。アンダスタン?」
「飼い主あんたじゃんお前がしっかりしてよ。この悪魔!!」
「まあ師匠の弟子ですし?」
「認めんな!!」
「ああ唾が飛ぶので怒鳴らないで下さいばっちい」
汚いものを追い払うようにアレンは顔の前で手を振り払った。飛ばしてないし!本当いちいちいちいち癪に障るなあ!嫌いだこんなモヤシ。この借金野郎!
早くラビ帰ってこないだろうか。この状況をどうにかして欲しいわ。ラビが行った方向を見てみるが帰ってくる気配がない。彼が行ってからかれこれ二時間は経とうとしている。こんなにも時間が掛かるとなると少しだけ嫌な予感がよぎった。
「ラビに何かあったらどうしよう」
「遺影ならいつでも用意できます」
「勝手に殺すな!」
縁起悪いことを笑顔で言うからタチが悪い。しかもさらりと何気なく。仲間なんだから心配してやんなよ。
「なまえはそんなにラビが心配ですか?」
「当たり前でしょ、仲間なんだから」
「偽善者っているよなあ。あ、別になまえの事では無いですよお気になさらず」
「あきらか私の事じゃん!こっち見て言ったじゃん!何ナチュラルにかわそうとしてんの!」
「五月蝿い猿ですね」
誰 が 猿 だ よ 。今ならアレンに対する怒りが神田の気持ちとシンクロ出来る絶対。シンクロ率百パーは余裕で行く。ムカつく実にムカつく。アレンは私の事を馬鹿にしてんのか見下してんのか。いやきっと両方だろうけどね。
「僕の気持ち分かりませんか?」
「何がよ」
「愛情の裏返しって」
「は?ごめんよく聞こえなかった」
「聞いとけよ。もう言わねえよ馬鹿猿女」
「聞こえないだけでそんな言わないでよ。ね、もう一回言ってよ!」
「あ、ラビが来ましたね。おーいラビー」
「ちょっと!」
私のことを無視してティムを肩に乗せているラビの元へアレンは駆け寄った。シカトか!
「伝わらないなあ」
「ん?何か言ったかアレン」
「何でも無いですよラビ。ほらさっさと行きますよバカ猿」
「ふざけんな!」
これも愛情表現
「ラビ、帰りに飲み物買っていきたいんですけどいいですか」「うんいいけどそれデカくね?」「誰かさんが無駄に喉乾いてるらしくこれくらいが丁度いいんですよ」「ふうん?(すっげ嬉しそうな顔ー)」
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