「はっ…は、何度言ったら分かるんだよ!!この足手まといが!」
「…ごっ、ごめんなさい」
これで何度目だろうか。また神田さんを怒らせてしまった。理由は簡単、私がトロいうえに戦いが怖くてビクビクしてるからだ。私は新人エクソシストで、今回の任務が三回目。三回全ての任務が神田さんと二人だ。
そろそろ戦いに慣れなければいけないのに体が強張って動かなくなってしまう。
そのせいで神田さんはずっとイラついているんだ。
『なんだお前ら仲間割れかぁ?』
行く手を阻むレベル2のアクマ。本来なら神田さんの実力ならすぐに破壊出来るはずだ。でも私がグズなせいで神田さんが私を庇いつつ、アクマに攻撃をする。これでは効率悪い。早く破壊出来ないわけだ。
自分の愚かさに嫌気がさす。
「てっめぇ!初任務じゃねぇだろ!いい加減オドオドすんな慣れろ!!」
「す…っすみません、すみません!」
「いちいち謝んじゃねぇ!」
「すみまっ…は、い…」
涙目になりながらに神田さんに謝る。 あぁもうどうして私はいつもこうなのだろうか。頑張らないといけないのに怖くて怖くてたまらない。
アクマに殺された人達の肉片や血、臭いが気持ち悪くて口を抑える。初めて見る状況じゃないのに、慣れなきゃいけない、のに…。
『ボロボロだなぁ、エクソシストォ』
ザンッ!! ブシュッ…!
「ク、ソ…ッ」
「か…っ神田さん!」
「テメェは来るな!邪魔なんだよ!!」
「で、もっ」
「うるせぇ!今のお前は必要ねぇんだよ!!」
神田さんが私を睨む。 戦闘の邪魔になるからここから離れて何処かへ行け、と。
「早く失せろ!」
「でも、でも神田さんが…」
「失せろって言うのが聞こえねぇのか!!」
「、…ッ!」
私は神田さんに背を向けて全力で走った。
本当に足手まとい。 そのせいで神田さんは負わなくていい傷を負うはめになる。私のせいで、私が悪いせいで。目にたまっていた涙がボロボロとこぼれる。泣いてる場合じゃないのに、なんて甘ったれなのだろうか。
「はっ、はぁっ」
何で、こんなに弱いの。 何で逃げることしか考えないの。
「うぇ、ひ…ひっく、」
初めて任務に行ったときから何も成長していない、何も変わっていない。ただ逃げることしか考えていない、早く終わることしか思っていない。
闘おうと、していない。
「ふ…ぅ…っ」
どうして、どうして私は…いつもこうなの。
──…逃げるぐらい誰でも出来んだろうが、甘ったれてんじゃねぇよ!
じゃ、り
ふ、と神田さんの言葉を思い出し足を止めた。この言葉は確か私が初任務で言われた言葉だ。
逃げるくらい、誰だって出来る。甘ったれるな。
「………、」
そうだ、私はエクソシストなんだ。アクマを破壊出来るのはエクソシストだけなんだ。エクソシストの私が逃げていては、ダメだ。
「…行かなきゃ、」
神田さんの所に。
どうしようもなく怖いけど、逃げたいけどそれじゃあ何も変わらないから、何も出来ないままだから。
エクソシストとしてそれはダメなんだ、いけないことなんだ。
「もう、逃げたくないよ…」
頑張りたい。
ドジで臆病者で逃げてる自分を変えるチャンスなんだ。頑張らなきゃ。
私は動かない足を動かし、神田さんの元へ走った。
ジャッリ
「かっ神田、さん!」
「…!なんでお前がここに…」
「あ、のわたし…!ずっと…ずっと今まで逃げててすみません、甘えててすみません、でももう逃げたくないんです」
闘わせて…下さい、
震える声を抑えて神田さんに頭を下げる。怒られるかもしれない、今更なんて思われるかもしれない。
でも…それでも私は私を変えたいから、
「…ならこのアクマを自力で壊せ」
「え…っ?」
「口先なら誰でも言えんだろ、行動で示せ」
傷を負った腕を押さえて神田さんはアクマに視線を送る。神田さんはあくまで自分は手を出さない気だ。
あのアクマはまだほとんど傷を負っていない。あれを私が壊さなければいけない、初めて壊すアクマなんだ。
がたがたと小刻みに揺れる体を動かしてアクマの前に立ちはだかり、イノセンスを構える。
『ハハハ!!舐められたもんだなぁ!!テメェみてぇな雑魚にオレが負けると思ってんのかよ!!!』
「つ…ッ」
怖い、 コワイ怖い 戦うのが恐いよ。
「……」
けど、それじゃあダメだって気づいたから。いけないってわかったから。
私は闘う。
『死ねぇえエクソシストォオエ!!!!』
「いっイノセンス、」
───…発動!
キュウいィン、
ドオオォオンッ!!
『ぎ、ギゃあアアアアア!』
「!?」
「っ…きゃあ!!」
爆風で体が吹っ飛んだ。土煙で辺りが良く見えない、アクマは?神田さんは…?
「お前、イノセンスのコントロールぐらいしやがれ」
「ごっごめんなさい!怪我は…」
「余計な心配をするな」
「すみません…」
「フン、今の攻撃でアクマは破壊されたみたいだな」
「え?」
「イノセンスだけ残っている」
アクマが所持してたイノセンスを拾う神田さん。土煙が晴れて辺りを見回せばどこにもアクマがいない。
いないんじゃない、破壊したんだ…私が。私がアクマを壊したんだ。
急に体の力が抜けてその場にへたり混んでしまった。
「こ、腰が…」
「フン情けねぇ」
緊張の糸が切れたのか腰に力が入らなくなった。は、恥ずかしい。顔を赤くすると呆れていた神田さんが私の前で膝を付いた。
…え、
「俺は言った事を守らない奴は大嫌いだ」
「は、はい」
「あの言葉、忘れんなよ」
「(あの言葉って)」
──もう逃げたくないんです!
あれのことかなきっと……。
うん…もう私は逃げない、甘えない。決めたからには最後まで頑張りたい。
自分のために……
「か、神田さん!これから頑張りますのでよっよろしくお願いします」
「…、アホか」
普段より声を張り上げて頭を下げると神田さんはほんの小さく笑ってくれた。
その表情を見て少しだけ神田さんとの距離が短くなった気がした。
END
= = = = = = 長い上意味不明orz 書いてて出口が分からなくなってしまいましたorz
この話の苦情は受け付けません
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