谷塚舞の場合
1舞
(私の周りは少し普通とは言えない。人として凄いと思うのと同時に、怖さと劣等感に苛まれたりする)
舞、愛菜を見付けて駆け寄る。
2舞
「全く、ついさっき別れたばっかだろ。何の用だよ」
3愛
「何？あたしと会うのは一日に一回がいいの？」
4舞
「何が不機嫌にさせたんだよ」
5愛
「さっきまで未央里と居たんだけど、青少年が視線でね…」
6舞
「あぁ、香澄って奴？気まぐれだよなぁアイツ」
7愛
「……へぇ？気まぐれ…」
8舞
「お前はホンットに変な顔するな」
9愛
「あら、失礼ね。舞のその感覚が魅力的なのよ」
10舞
「私にとっちゃ、普通なんだがね」
11愛
「……いいわね〜」
12舞
(愛菜も未央里もいい奴で。また、自分と言うものを持っている。私には何もないのに、羨ましかった)
13舞
「まぁ、未央里が香澄って奴にとられたと？」
14愛
「あと、未央里のおじさんの所にまだ行けなくてね」
15舞
「あぁ、あいつがまたNG発言したのか」
16愛
「まだあるわよ。あの青少年に仕組まれて舌打ちだわ」
愛菜、鞄をあけてタンブラーを取り出す。
17舞
「…ん？仕組まれた？」
18愛
「…そう、気付いてないの？」
19舞
「何か未央里になついているのは分かる」
20舞
(愛菜には特に感じる。元々、未来が見えるし、人のことを良く分かってる。…自分が情けなく思ってしまう)
21愛
「あら、分かってるんじゃない。青少年が未央里と二人きりで話したいみたい」
22舞
「へぇ、惚れてるみたいだな」
23愛
「…………」
24舞
「何だよ、私だって恋愛のハナシくらいするさ」
25愛
「舞が自分から言うのは初めてね。お姉さんと何かあったわね」
26舞
「……あぁ」
27舞
(それが、自分にとっての時間を動かすにはもってこいだった。自分の何かがカチッとはまったかのように、いとも簡単に)
28舞
「久しぶりに姉さんと向き合った気がする」
29愛
「……憑き物取れたみたいにスッキリしてるわね」
30舞
「なんだよそれ」
31愛
「良いじゃない。……さて、舞にもうひとつ野暮用に付き合って貰うわ」
愛菜、メール受信。
舞に見せる。
32舞
「……まぁ、暇だから良いよ」