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『あ。お、おはようございます!』
「ああ。おはようございます」
『(返してもらえたっ)』
「今からフルートの練習ですか?」
『あ、ははははい!』
「前から思ってたのですが…どうしてそんなにどもるのです」
『いやえっと、これは…!』
「一緒に居た方とは普通に話せてましたよね」
『え?ああ、いえ…家が隣なので…』
「へぇ…。ああ、そういえば。私のフルネームを教えてなかったですね。一ノ瀬トキヤです」
『一ノ瀬、トキヤ……えっと、』
「お好きに呼んでください」
『へ!?いや、え!?』
どうする私!?そりゃもちろんトキヤ君とお呼びしたいよ。そして名前って呼ばれた…きゃあああ!今のなし!今のなしっ。ていうか顔熱い。想像しただけでこんな…。本物だったら呼ばれる度に失神する。
「?どうしま 「うおっとおおお!誰かと思えば名前じゃねぇか!」 …あなたは、」
『咲月?なんでこんな朝早く…』
「ちょっと部活でなー」
咲月が横から手を肩に回して来る。一ノ瀬さんめちゃくちゃ見てるし。ちょっと誤解されちゃうじゃんか!
「あれあれ。一ノ瀬さん、うちの名前に何か用ですかあ?」
『ちょ…!』
「ええ、少し。ですが、また今度にしましょうか。もう戻らなくてはなりませんので。…では名前。また」
『う、え!?い、…ええええ!?』
「ぎゃああああああ!俺の名前があああああああ!」
ああ、今全世界の皆様に業務連絡いたします。本日、鳥明名前は、一ノ瀬トキヤさんに、恋をしました!
「え?今までも好きだったよね?」
『今までのは憧れだよ』
「!!俺のばかばかああああっ」
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