「名前ー!朝だよー!」
朝になれば、毎度の如く執事が起こしに来てくれる。
『ん……起きる』
「起きないなら、ちゅーしちゃうよ」
『うん、起きるって言ってるよね?』
相変わらず人の話しを聞かない。馬乗りしてきた音也を片手で押し返しながら、私は起き上がった。
『今日の用事は?』
「今日一日、名前はオフ!」
『(え、台本と違…)お、オフ?』
「だからー……俺と、いちゃいちゃしよっか」
『なっ!う、わあ!?』
「へへ、名前可愛いー。んー」
台本を完全スルーしてきた音也。なんで押し倒されているんだ私は。おかしい、おかしいよね?パニックになっていたら、音也の頭が首筋に埋まる。ざら、っとした感覚を覚えた。音也の少し冷たい唇が、だんだん下に降りていく。
『音、也…!やめ…!っ〜…えええいやめんかいっ!!』
――――ゴンッ
「いっ……。もう、何するのー?」
『こっちの台詞!何してんのっ』
私は頭突きをした。頭を両手で押さえる音也。私も痛いぞちくしょー。
「何って……」
『言わなくていいよ。顔で分かってしまったから』
「えー」
口を尖らせて拗ねる。拗ねたい、というか、怒りたいのは私だっ。いきなりこんな台本に無いことを…!なんて思っていたら、また音也に押し倒されていた。
『え…?』
「まだ終わってないから。ね?」
ニコニコニコニコ。
お…、え!?音也近い、近すぎる!そもそも体勢がおかしいよっ。音也の下から抜け出そうとすれば、顔の横に手を付かれた。
「だーめ。せっかく捕まえたのに…逃がしたりしないよ?」
『…!?』
「いっただっきまーす!」
『ぎゃあああああああ!誰か止めろぉおおおおおっ』
「一十木君、生き生きしてますね」
「止めますか?」
「「「 いや、無理だろう 」」」
※あの後、本当に泣き出してしまった名字さんの為に、全力で一十木君を止めました。(スタッフ一同)
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