シリーズ | ナノ


『ただいまー』

「お帰り!お帰り名前っ!」

『う、わ…っ!?』






玄関に入った途端、ものすごい勢いでリビングから赤いものが飛んできた。






「名前、名前っ」

『音也、とりあえず靴脱がせて』

「うん!」






私が靴を脱ぐまで、その場で待機。なんか尻尾が見えるよ。めちゃくちゃ振ってるよ。私はリビングに向かう。荷物を置いて、手を洗ってから荷物の整理。今日はセールだったから買い過ぎた。野菜、こんなにあってもなあ…。






「………」

『?どうしたの、音也』






背中が大きな温もりに包まれた。音也の大きな手が私の視界に入る。そしてそのままぎゅっとされた。






「なんか、名前じゃない人の匂いがする…」

『えー?嘘だー』

「ほんとだって!ん…男?」

『いや、違うと…』






思うって言おうとしたら、くるんっと正面を向かされて、またぎゅうっと抱きしめてくる。可愛いなあ、なんて思いながら、私の肩に埋まる頭をゆっくり撫でた。






「…名前は、俺のだもん」

『(きゅん)ああもう可愛い!音也大好き!』

「!!俺もっ。俺も大好き!」






相思相愛バカップルみたいだな、なんて。とりあえず、夕飯作りたいから、そろそろ離してほしいかな。うん。






「名前、大好きっ」

『分かった、分かったから。ちょ、くすぐったいから離してえええ!』