少女Aのぽかぽか日和 | ナノ



「そういえば、テストの点数が悪かったみたいですね」

『え。なんで知ってるの?』

「当然です」

『うん?』



翔君に用があってSクラスに来た。そしたらこれだ。トキヤ君、それは当然とかそんな言葉で納められることではないのだよ。



「レディ、点数悪かったのかい?」

『まあ、そうだけど…。でもトキヤが知ってるのはおかしいと思うんだ』

「ということで、放課後に勉強しますよ。図書室に来てください」

『スルーなんだ。私の一番知りたい答えはスルーなんだ』

「お、勉強会すんのか?なら俺様も行くぜ」

「オレも行こうかな。楽しそうだし」

『(勘弁してくれ)』



絶対にレンの「楽しそう」は、私がトキヤに怒られながらするところを見れるからだと思う。このドSが。


なんだかんだで図書室に来ました。



『分かりません』

「テストもここでしたね。帰って復習しましたか?」

『してませんごめんなさい。早く帰りたいです』

「駄目です。もう一度」



放課後、図書室の一番小さな机に、私とトキヤが隣で、前にはレンと翔君が座った。勉強を始めて数分、新たな疑問。なぜトキヤは私の解答を知っているんだ。



「ほらレディ、頑張って。終わったらご褒美…、あげるから」

『!?』

「なっ…!は!?」

「あんな馬鹿放ってやりますよ」



いきなり机から身を乗り出してきたレン。何をするのかと思えば、頬にレンの唇が触れた。咄嗟に身を引いたけど駄目だったらしい。このキス魔!ていうかトキヤ痛い。そんなにごしごししなくてもいい。



「っ〜…もうお前こっち!」

「おやおや、どうしておチビちゃんが真っ赤になるの。初だねぇ」

「うるさい!とにかくこっちだ!早く代われー!」



『(翔君が前だ…良かった)』



そして私達は勉強を再開。なんだかんだでありがたいことだし、トキヤ教え方上手だから…。ただ、トキヤ自身に教えてもらうまでに、沢山の本を渡されることもある。分からないところだけ聞きに来てくださいって言われた。



『…トキヤ』

「はい」

『ここが分かりません』

「ああ、ここは…」


「(名前とトキヤの顔が近い。トキヤ羨ま…っ!違う!今のは断じて違う!別にし、嫉妬とか…俺様はしてない!……って、俺誰に弁解してんだよおおおお!)」

「(イッチー楽しそうだねぇ。自分の緩みきった顔に気づかないし、おチビちゃんは見てて面白いし。やっぱり来て正解だ)」

「(翔とレンが邪魔ですね。せっかく二人きりになれると誘いましたのに。仕方ありません。ご褒美は、名前を送ってからにしましょう)」


『んー……難しいな』



結局、真面目にしているのは名前だけってこと。


prev next
back