「おはよう名前!」
『おはよう音也。今日も笑顔が眩し過ぎるね』
「?ありがとう!」
このわんこは音也。そんな音也の隣の席に鞄を置く。つい最近、担任の林檎先生の思いつきで席替えをした。そして私は、見事に音也の隣をゲットいたしました。
「名前ちゃん、おはようございます!ああ、今日も可愛いですねぇっ」
『なっちゃん、おはよ。でも朝から苦しいよ…!』
隣で音也があわあわしている。見てないで助けてくれ!お願いだから!祈っていると、急に圧迫感がなくなった。顔を上げてみる。
「四ノ宮、名前が苦しんでいる」
『真斗君…!』
「苦しかったんですか!?…名前ちゃん、ごめんなさい…」
『あ、いや…』
しゅん、とするこの大きいわんこ。どうする私。これを見ては何も言えなくなっちゃうよ!
「次からは、優しーくぎゅうってしますね!」
『うん、それ言ったの今日で何度目だろうね』
真斗君が静かに息を吐いた。
『幸せ逃げちゃうよ?』
「俺はそんな失敗はしない…!」
『例えだから。例えだから真剣に取らないで』
「うわああああ!マサが日本刀持ってるううう!名前ー!」
「俺の幸せは奪われん!」
『ごめん真斗君、謝るからあああ!』
「わー、鬼ごっこですかぁ?ふふ、楽しそうだから僕も混ぜてくださーい」
今日は一段と騒がしいな。
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