なぜか春ちゃんと友ちゃんも来てしまい、後から来たレンに「レディは一体、どれだけ呼んだんだい?」と聞かれてしまった。訂正してほしいね全く。呼んだのは私ではなく音也だ。
『で、いつまでいるの?』
「お前それ聞くの何回目だよ…」
『冗談だって』
「いや嘘だろ」
『翔君うるさい』
またクッションを抱きしめる翔君に抱きつこうとしたら、全力で拒否されてしまいました。
「…………」
『…………』
「…………」
『…ねぇ、真斗君はさっきから何をしてるの』
「裁縫だ。無心になれて良いぞ」
『何が良いのか全く分かんないけど良かったね。あと、腰に手を回してくるレンをどうにかしてほしいな』
「神宮寺っ!」
「はいはい。レディも酷いな」
レンの言葉は無視だ。真斗君が睨んでるよ。綺麗な顔がもったいな………いや、もっと綺麗になってるし。かっこいいなおい。とりあえず、レンは真斗君に任せて、視界に入ったなっちゃんの所へ。
「名前ちゃんの部屋にはたくさん可愛いものがありますね」
『そうかな?』
「はい。僕の部屋にはこんなにありません」
『うん、あったらびっくりするかな』
でもなっちゃんなら許せてしまいそうなところが怖いわ。なんて思いながら、なっちゃんのクリーム色の髪の毛を見る。きれいだなー。ふわふわしてて、気持ち良さそう。惚けーっとしていたら、春ちゃんがやって来た。
『どうしたの?』
「えっと、クッキー焼いてきたんです!」
『え、本当?やった!食べようよ』
「はいっ」
よっこらせと、私は立ち上がる。友ちゃんがばばくさいと言っていたけど、私はまだピチピチだと返事しておいた。なっちゃんの手も引いて、既にクッキーの入った包みを広げている音也のところへ。おいしそうですねぇ、と言うなっちゃんの声で、全員が机のまわりに集まった。
「すごいな。この量を一人で作ったのか」
「はい。名前ちゃんは、クッキー大好きですから頑張りました!」
『あっはっはー。よせやい』
「気持ち悪いわよ」
『友ちゃん、私は傷ついたよ』
「あっそ」
『………ひどい』
泣いている私は放置プレイ。おい、誰か構え。とりあえず、八つ当たりで翔君が食べようと掴んだクッキーを食べてやった。
「何すんだよ!?」
『春ちゃんおいしい!』
「本当ですか?良かったです」
「聞けよ!!!」
またうるさくなった翔君は、私のハグで大人しくしてやった。レンが俺もうるさくしてみようかな、なんて言っていたけれど、ハグはしてやらないと断言しておいた。
「レディは手厳しいな」
『だって身の危険しか感じられないからね!』
「名前!容易く男にだ、抱きついたりするなっ。年頃の女がそんなはしたないこと……!とにかく駄目だ、もうするな!」
『真斗君も年頃のはずなんだけど、お母さんに見えるよ』
「僕は抱きしめてもいいと思いますよー。はい、ぎゅー」
『わっ!』
「四ノ宮……!」
真斗君の説教もあり、少し疲れた一日でした。
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