おはようございます。今日は土曜日ということで、学校はお休み。だから部屋でだらだらしていた。
『あー、なんか学園長と関わらないだけで平和な気がする』
ベッドの上でごろごろ。でもずっとしてたら牛じゃなく豚になりそうだな。久しぶりにアイディアノートでも書くか。私はベッドの横にある棚の引き出しを開ける。百均で買ったノートを手に取り、あぐらをかいた。ぱらぱらとめくる。
『うわ、懐かし…』
いろいろ書かれたノート。ぱらぱらしていたら、一枚の写真が落ちてきた。こんなの挟んでたっけ、なんて思いながら裏を向く写真をめくる。
『あ、』
そこに写るのは、小学校の格好をした兄妹。そういえば、こんなの撮った気がするなあ。私の入学式で「祝入学」の看板の前に、なぜか兄と一緒に。優兄、元気にしてるかな。そう思っていたら、部屋のチャイムが鳴った。少し驚きながら、写真をまた挟み、急いでドアに向かう。
『はいはーい。どちら…、』
ぱたん。ドアを開けた、けどダメだと思う。彼らを入れたら今日という休日は味わえない。
―――ピンポーン
無視だ。絶対に入れてはいけない。頑張れ名前。もう居ることばれたけど平気だ!
―――ピンポンピンポンピンピンピン
まさかの連打。ていうか連打のし過ぎでピンしか言わなくなってる、ポンが鳴らないじゃないか!
『うるさああああい!』
―――ガッ
「ようやく出たなっ」
『ぎゃっ!』
「名前ちゃん、こんにちは」
『はい、なっちゃんこんにちは』
「お邪魔しまーす」
『お邪魔をするな』
目の前には、音也となっちゃんと翔君が居た。何をしに来たお前らは。私がドアを開けた時に足を引っかけたのは翔君だったらしい。とりあえず、もう一度聞こう。
『何をしに来たお前らは』
「だって一人部屋って名前のとこだけなんだもん」
『なっちゃんと翔君の部屋に行けばよかったじゃん』
「おっまえ、バカ!」
『何をう!?』
翔君が私の肩に腕を回し、少し前屈みになる。なんか内緒話みたい。いやそうなんだよ、なんて言葉は受け付けないから。
「俺らの部屋には、那月の!趣味の!料理の!材料が!」
『うんもう分かったよ。だから泣きそうにならないで翔君』
涙目の翔君の頭を撫でる。私の部屋に来たのは半分は分かった。けど、音也の部屋でも良かったんじゃ…。
「トキヤが駄目って」
『トキヤおかんだからね』
音也が「うう…」って顔を覆うから、また頭を撫でといてあげた。なっちゃんは、私のベッドの脇にあるぬいぐるみに夢中である。音也と翔君も、自由に物色し始めるし。もう私は怒らないよ。冷蔵庫からオレンジジュースを出しながら、何をするんだろう、なんて考えた。
「あ。名前、名前!」
『はいはい、なんでしょう?』
音也が後ろから覗いてくる。もう何を言われようが驚くまい。
「マサとレンも呼んでおいた。トキヤも課題終わったら来るって!」
『…………』
「あれ?名前?」
『音也、少しだけ現実逃避させてね』
休日は無くなった模様です。
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