「名前ちゃん、また何か壊したんだってね?」
『おかしい!おかしいよ総司君!私は何も壊してないはずなんだよっ!?』
「あはは」
『……』
縁側で休んでいたら、総司君がやって来た。昨日の障子は平助達がやったんだからね。決して私ではないからね。少し怒りながら、傍に置いておいたお饅頭を手に取る。そして口へ運ぼうとしたら、がしっと腕を掴まれた。何事かと思いながら、そちらに目をやる。そこには、お饅頭目掛けて近づいてくる総司君の顔。
「あー…ん。あ、おいしいね」
『…!』
「?名前ちゃーん、おーい」
『私の最後のお饅頭うううう!!』
「そうだったの?ごめんね」
『全然誠意が感じられません』
お饅頭はまた今度買うからいいよ。総司君に絶対買わせてやるからな!なんて思っていたら、なぜか総司君の頭が私の膝に。いつの間に…。
『総司君、何してるの』
「膝枕」
『それ私がしてるんだよ。総司君はされてるんだよ。分かってる?』
「馬鹿にしてるの?」
『いだだだだ』
私の太股をつねりだした。あーあ、真っ赤になったじゃないか。そして、目をつむる総司君の顔を見る。綺麗な顔なんだよね。むかつくけど。くそっ、今猛烈に筆が欲しい。
「悪いこと考えてない?」
『なんで分かっちゃうの総司君。それはやっぱり総司君にとっては日常的に考えてることなの?』
「斬るよ」
『すんませんしたっ』
下から見上げてくる総司君が怖かったです。そしてまた静かな空間に戻る。相変わらず私の足の上から退くつもりはないらしい総司君。本当に寝ちゃったのかな?
『……可愛い寝顔』
すーすー、と下から聞こえる寝息。起こさないようにそーっと髪に触れてみた。さらさらのふわふわってどういうことだ。羨ましいぞ畜生め!総司君の髪が気持ち良くて、当分撫でていたら睡魔が襲ってきた。欠伸が出て、体が勝手に傾く。隣にあった柱に体を預ける形になった。起きたら土方さんに怒られるかも…。そう思いながら、私の瞼は完全に閉じてしまった。
起きたら一緒に怒られようか
(おい名前ーって、ぎゃ!)
(どうした平助)
(佐之さん見ろよ!)
(おお、寝てんな)
(そーじが!寝てる!幻じゃねえっ)