『今度は、何をしたんですか。正直に話してごらん?平助』
「なんで俺なんだよ!」
『髪が一番長いから』
理由がおかしい!納得いかない!と叫ぶ平助は放置。でも実際、本当に何をしたらこうなるんだ…。
「名前、これには深い男の事情があるんだ!」
「とりあえず黙っとけ新八」
弁解しだす新八さんを、佐之さんが止めている。そう、今回事件を起こしたのはこの3人。お昼を少し過ぎた頃、この3人は(なぜか)ちゃんばらごっこをしていたらしい。その遊びが度をいきすぎて、なんと土方さんの部屋の障子を壊してしまった。
『またなんで中でするんですか…』
「すまねぇな名前」
『それは土方さんに言って下さい』
にっこりスマイルのまま、私は佐之さんに言う。佐之さんは苦笑いをしていて、平助と新八は顔面蒼白。
「平助ー、どうするよ。このままだと俺らの首もこんなふうに…」
「ななななななる訳ねーよ!だ、だだだだ大丈夫!この障子は透明だって言えば…!」
平助よ、意味分からん。そして何が大丈夫なんだ。透明て。私の時代でも障子は透明になってませんよ。
『とりあえず、障子を貼り替えましょうよ』
「そうだな。このままだと本当に首が飛びそうだ」
「佐之さん、えええ、縁起でもないこと、いいいい言うなよなあ!」
『その割には震えてるよ平助』
とりあえず、震えすぎな平助の頭を撫でる。背は平助の方が高いから、腕を目一杯伸ばした。
「あー、なんか落ち着いたかも」
『あたりまえ。なんたって私の手には不思議な力があるからね』
「真顔で嘘ついてんな」
そんなこんなで、私は蔵まで行き、新しい障子を引っ張り出す。あとノリ的なものを、丁度傍を通った山南さんに貰った。
「それで、次は一体何を壊したんですか?」
『山南さんおかしい!今回は私じゃないですからね!』
「おや、そんなこと知っていましたよ名前さん」
『なら私に刺さるこの視線はなんですか山南さん』
頑張って下さい、と笑う山南さん。くそう、なんだか負けた気分だ。いや、勝ちも負けもないけど。
『…よっし』
私は障子を持ち直す。とりあえず、今は障子を貼り替えよう。少し太陽が眩しい時間、綺麗な青い空の下で、少し心が踊っていた。
皆と何かできるお昼前
(あ!平助、糊がはみ出てんぞ!)
(わわわっ!)
(ったく、お前ら真面目に…)
(何してんだ、お前等?)
(げっ、副長…!!)
(土方さん、お帰りなさいっ)