『左之さん!!』
「名前じゃねぇか。どうしたんだ?」
『どうしたじゃないですよ!昨日、島原行きましたね!』
ぎくっと肩が動いた左之さんを見て、私は確信した。ああ、昨日島原行ったんだな。
『左之さんのお馬鹿!左之さんのせいで…!私、私は……!』
「名前!?何泣いてんだよ!そんなに嫌だったか?(俺が島原に行ったことが)」
『……嫌、でした(土方さんに怒られるし)』
「名前…そんなに俺のことを、」
『昨日、土方さんに怒られるし。しかも一君にまで「副長を困らせるな」とか言われたんですよ!また一君の中での私の好感度が下がったじゃないですかあ!』
「ああ、そっちかよ」
左之さんのお腹目掛けて突進。鍛えられたお腹は、私の与えた衝撃なんて直ぐに吸収された。なんだよ左之さんのお腹のお馬鹿。ちょっとは痛がってよね。昨日、本当に二人が怖かったんだから…!土方さんは普段から怒っているから怖くないけど。一君はちょっとオーラがやばかったですはい。
『左之さんたちが出かけて行く時、私ちゃんと聞きましたよね?』
「あ、ああ。そうだったな」
『それを見てたらしい総司君が…!土方さんに!しかもその場に居た一君にまでっ!』
「佐之さんたち?そういえば、名前ちゃんが何か知ってるみたいですよ(にっこり)」
『って……!!』
そうだ。元はと言えば総司君じゃないか。佐之さんは悪くな…いや悪いか。でも総司君は絶対に分かってて言ったよね。あんな言い方したら私が拷問されることくらい分かってたよね?
『つまり、本当の敵は総司君か…!』
「いやまあ…、それもそうだけどな」
佐之さんは少し笑い、私の頭に手を置いた。
「悪かったな。俺らのせいで」
『佐之さん…』
佐之さんが申し訳なさそうに笑う。私はそれを見上げる形になり、改めて大きいなと思った。それでも…。
『今回のことは仕方ないから許してあげますけど…次は無いですからね!せめて場所くらいは言ってください。……危ないことあったら、助けに行けないじゃないですか…』
「…!」
返事が返ってこない佐之さんを不思議に思って、私は下に向けていた顔を上に向ける。その瞬間、目を佐之さんの片手に塞がれた。
『佐之さん…?』
「今こっち見んな」
いや、あの…。何プレイですか。私は別に目隠しプレイとか、できれば遠慮したいです。なんて変な思考になってしまう。ていうか、抱き着いたままだったや。まあでも、佐之さんも拒否はしないし、たまにはね。佐之さんの筋肉に包まれたいのさ。そう思い、私はまた佐之さんのお腹に回る腕に力を入れた。
とりあえず、これで許します
(何してるの?二人して)
(げっ!総司!?)
(総司君も抱き着いてみなよ)
(嫌だよ。その代わり、名前ちゃんに抱き着いていい?)
(いや、なんで佐之さんの代わりが私なの…)