06
『春ちゃん春ちゃん春ちゃん…っ!!』
「あっ、あのー?美風、先輩…?この方は…」
「見えないフリしていいよ」
「は、はあ…」
『春ちゃん可愛い!好き!大好き!』
「ぇえっ!?」
「はあ…」
扉を開けた瞬間、目の前に走って横切ろうとする春ちゃんがいました。楽譜持ってるし、急ぎのお仕事?と思いつつも春ちゃんに出会えた嬉しさで、名前を叫びながら抱きついてしまった。あー、かわいいかわいい。藍ちゃんが溜息ついてるけど、そんなの気にしないよ!春ちゃんだよ、春ちゃん!
『春ちゃん!』
「え!?えっと、」
『私は名字名前っていうの!春ちゃん大好きなんだよ!ファンなんだよ!ぜひぜひこの機会にお友達になってください!』
「え、ええええ!?そそそそそ、そんな私とだなんて…っ!」
「そこの変態。そこらへんにしときなよ」
『うっわストレートに変態って言われた辛い』
春ちゃんを抱きしめてふにふにしてるわたしは、藍ちゃんには変態に見えたらしい。その通りだけどね!
「わ、私でよかったら、ぜひ…っ!」
『うわあああああああん!!ここに天使がいるよおおおお』
「煩い。叫ばないでよ、煩い」
『2回も煩いって言った』
(とりあえず、出会えました)