04
目の前にいる敵意剥き出しの藍ちゃんに、私はぽつぽつと、私が経験したことを話した。途中で口を挟むことなく、私のペースで話させてくれる藍ちゃんは、やっぱり優しいなあなんて思いながら、全部話した。
「つまり君は、違う世界から来たってこと?」
『そーなりますねー』
「で、そこでボクたちは有名だと。プライバシーの侵害にも程があるよ」
『えへ』
さすがに春ちゃんとあーんな関係になるのを楽しんでた、なんて言えなかった。
『ねーねー、藍ちゃん』
「何?」
『今はマスター期間なの?』
「そんなことまで知ってるの?うん、そうだよ。皆で寮に住んでるけど」
うわやべ。何その素敵住宅。わたしも一緒に住みてええええ。
「ていうかキミ、どーするの?」
『え?どーするって、え。具体的に言いますととりあえず目の前にいる藍ちゃんに抱きついてあわよくば鎖骨触りたいとか腰撫でたいし、堪能したら素敵な寮に行ってとりあえず音也をはすはすしたい。小さい翔くんとかおっきいたんぽぽみたいななっちゃんも目に焼き付けて、色気むんむんなレンの匂い嗅いだら敵意むき出しであろうトキヤと真斗くんに真顔で抱きつきたいかな。それから先輩にも会いたい!嶺ちゃんのマイガール?を生で聞いたら蘭丸のこれが俺のロックだぜ!も聞いてカミュには砂糖をブレゼント。あ、藍ちゃんにはシュークリームあげるよ?』
「そういうことを聞いたんじゃないよバカ。ま、通報されていいならそれでもいいんじゃない?」
がびーん。そうだった。私は彼らを知ってるけど彼らは私を知らないんだった。初対面でそんなことしたら本当に今度こそ通報されちゃうよね。あ、でもそこはやっぱり藍ちゃんが上手いように説明して皆に納得してもらったらいいんじゃないかな。うん、我ながらいいアイディア。
「そんなに通報されたいの?」
『失言をお許しください藍ちゃん様』
「藍ちゃん様って何。馬鹿にしてるでしょ」
うーん。でもせっかくトリップしたならさあ、会いたいよねみんなに。春ちゃんに対してうはうはしてるところ生で見たいよね。ていうか春ちゃんに私もうはうはしたい!
『はい!藍ちゃん!』
「今度は何?もうそろそろ疲れ、」
『春ちゃんをうはうはしたいでっす!』
「………………」
もう勝手にすれば、と言い放つ3秒前。
(目の前の彼女は、バカだった)