02
「はーはっはっは!つまりミス名字!YOUは気づいたら今をときめくスーパーアイドル美風藍の腕を枕にしていたと言うのでぇすかぁ?」
『そういうことなんですぅ!だから警察呼ばないでよおおおおおお』
えぐえぐ泣いていたら、私をシャイニーの前で正座させる、隣に立った藍ちゃんが溜息を吐いた。
きっと、ファンの子がストーカーして不法侵入したとか思われてるんだろうなあ。やだなあ。ファンだけど違うんだよ。ストーカーせずに藍ちゃんの所に来ちゃったんだもん。私にも分からないんだよー。
えぐえぐ泣きながら考えてた私。足が痺れて痛い。泣きそう。……….あ、もう泣いてた。
「そんなこと信じられるわけないでしょ。つくならもっとマシな嘘ついてよね」
『嘘じゃないやい!!』
はあ、とまた溜息。溜息って幸せ逃げるって言われてるけど、ほんとはリラックス効果あるからね。気持ちがリセットされるんだからね!
違う。何威張ってるんだ私。今はそんな場合じゃないのに。とりあえず、そろそろ足が限界なんですが…!
「面白いじゃあ、あーりませんかー。いきなり降り立ったミス名字!ちょーど人を探してたのよん!手伝ってもーらいーましょーう。ばーっと。怪しいことには変わりありませーん。少しでもアイドルに害を与えるのであーれーばー」
にやり、と笑ったシャイニーの口からは
「きらっ☆と星に生まれ変わらせてあげまーす!!」
『嫌だよそんな仕事おおおおおおお!!』
ていうか人手不足って、なんの仕事なの?なんで私はここにいるの?なんで私は正座してるの?あ、藍ちゃんに抱きついたからか。藍ちゃん良い匂いしたなあ。何かな、香水?フェロモン?ロボットにフェロモンってあるの?てか15歳って嘘だよね。ていうか本当にうたプリの世界なら今どのへん?もう春ちゃん誰かと引っ付いた?
「ほとんど声に出てるんだけど」
『……え』
「…なんでボクがロボットだって知ってるの?」
『おうふ。し、しゃい、』
「社長なら君がいろいろぶつぶつ言ってる間に窓から出て行ったよ」
ちくしょう!いつの間に窓から出て行ったんだよ!私は働かされることが決定なのか!そうなのか!害を与える行動って何?鎖骨触るまでならいいかな?いいよね。なんて考えていたらべしっ、と頭を叩かれた。
『藍ちゃん痛い』
「バカなこと考えてるからでしょ」
えぐえぐと私はまた泣く。なんで心読めてるの。と口に出したら、全部声に出してる。と返ってきた。ぐすん。
『春ちゃんにはこんなことしたりしないくせに』
「だから、なんで君が七海春歌のこと知ってるの。ボクがロボットだっていうことも」
『……えへへ』
ああ、神様。目の前の敵意剥き出しの彼と、私はどう接したらいいのかな。藍ちゃん大好きなのに。
(話しておきたいことがある)