センニチソウ | ナノ

08





『ん…』






目は覚めたけど、目が開かない。まだ寝ていたい気分だ。少し動いたら、何か温かいものに触れた。なんだろ…。心地好いもので、私は無意識にすり寄った。






「……ぶっ」

『ぶ…?………え?』

「ああ、おはようございます名前。まさかあなたからすり寄って来るなんて思わなくて…」

『いや…なんでベッドにいるの?』

「何言ってるんですか。昨日一緒に寝たでしょう?」

『…あー……』






ギュウッと抱きつくペーターに抵抗せず昨日のことを思い出す。ここでペーターが寝るか寝ないかで口論して、疲れた私はそのまま寝たんだった。しかもその時点でペーターはベッドに入っていたから…。………つまり、最初から一緒に寝てたってことか。






『離れてペーター』

「えー、まだ寝ていましょうよ。あなたといちゃいちゃしたいです!」

『やーめーれー!』






ググっと押してペーターを離す。そういえば、眼鏡してないんだ。…ちょっと幼くなるね。こっちの方が似合う気がするけど…。手探りでなんとなく眼鏡を探すと、枕の横にあった。






『よしっ』

「…?」

『うん、こっちの方がしっくりくる』

「名前…!僕には眼鏡が似合いすぎると言うんですね!」

『違います』






枕で一発頭を叩いたけど、またすぐに抱きつこうとするので、ペーターの服を顔面に叩きつけた。それでもハートを撒き散らすのはなぜだろうか。……まさかマゾ?ペーターを見ると、耳がぴょこぴょこしている。少し笑ってしまった。顔を洗う為、タオルを手に洗面台へ。洗い済ませて戻れば、ペーターはもう着替えていた。






「もう帰るんですか?」

『うん。まだ見てないとこ沢山あるし、ユリウスさんに滞在していいか聞かないと』

「む…。そんなことしなくても、城に住めばいいんですよ!そしたら僕は名前とずっと一緒ですし」

『私のメリットは?』

「そんなの、僕と一緒にいられることです!」

『うん、言うと思った』






城への滞在を断りながら部屋の外へペーターを引っ張り出す。ビバルディに挨拶しようとペーターに頼んだら、どうやら彼女は仕事の様だ。私はまた今度お礼をしようと思い、ハートの城を出た。






「そんなに急ぐ理由もないでしょう!?もう少し居てくださいっ」

『いや、私の中での予定がね』

「嫌です!時計屋と一緒に暮らすなんて浮気ですよ名前!僕というものがありながら…」

『なら今すぐ捨ててやる』

「名前ー!!」

『……ハァ』






これはまた…。時計塔に帰るまでに根気が必要になりそうだ。










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