センニチソウ | ナノ

05





『おいしい…』

「そうじゃろ?わらわの一番好きな紅茶じゃ」

『すみません、わざわざこんな…』

「気にするでない。丁度夕方になったのでな。ティータイムをしようと思っていたのじゃ。それより名前。わらわに敬語などいらん」

『いえ、女王様に敬語無しだなんて…私きっと死刑になります』

「ふふ、大丈夫じゃ。わらわが良いと言っておるのだ。そこの騎士には普通であろう?ならばわらわも普通が良い」

『…へへ、ありがとう』

「名前、可愛いです!今の笑顔キュンときました!僕のこともペーターって呼んでください。もちろん敬語もいりませんよ」

『はいはい』






こんなに扱いが悪いのは、少し軽蔑してしまったから。こうやってティータイムにする前は、銃を取り出してエースを撃とうとした。だから、少し怖くもあったりする。でも……。






「?…どうかしましたか?」

『いや…』






ピコピコしている耳が可愛い。兎なんだよね。なんで人間になれたかは知らないけど。






「名前、余所物のおまえはまだこちらに馴染んでおらんじゃろ?城の滞在許可を出すが、どうじゃ?」

『んー、そうなんだけど…』






ユリウスさんの所に滞在しようか迷っていた。時計塔は中心にあるらしいし、いろいろ行くならそこが丁度良かったりもする。






「いいですね!大歓迎ですよ名前!」

『え?いや…』






エースに助けを求めようと目を向ける。それに気付いたエースは私に笑顔を向けた。助けてくれるんだ、とほっとする。






「名前なら俺も大歓迎だよ」

『うん、違うんだ』






言ってほしいことは違った。仕方ない。ここはもう自分で乗り切ろう。…乗り切れる気なんてしないけどね。






『ありがとうビバルディ。でも、時計塔に住もうかと思ってるんだ。まだ許可は貰ってないから、拒否されたら、その時はお城に来てもいい?』

「当たり前であろう。わらわは名前が好きだからな。時計塔なら、わらわも安心じゃ」

『ありがとう』

「時計塔って…ユリウス=モンレーの所ですよね。そんなのダメです!あんな辛気臭いのと一緒に居たら、名前も辛気臭くなりますよ!」

『ユリウスさんは優しい人だったよ。いろいろ説明もしてくれたし…ペーターの居場所だって教えてくれた』

「俺も案内したよー」

『……えっと…、ありがとう?』

「名前!」

「ホワイト、見苦しいぞ」






そう言われて黙ったペーター。耳が…耳が垂れ下がってる…!可愛いなあ。普通にしてたらいいのに。






『ペーター。ええっと…また来るから。ね?』

「名前…!僕に会いに来てくれるなんて嬉しいです!」

『誰もペーターに会いに来るなんて言ってないんだけどな』






抱きついてくるペーターを押し返しながら、夜になるのを見ていた。






「夜か…ではお開きにしよう。名前、こんな暗い中では危ない。今日は泊まってお行き」

『でも悪いよ』

「女王が言ってるから気にすることはありません。さ、部屋に案内しますよ」






ハートを撒き散らすペーターに、笑うビバルディ。エースもニコニコしてるし。……ここは、甘えさせてもらおうかな。今日は、ハートの城に滞在します。










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