センニチソウ | ナノ

04





「おお、本当に着いた」

『その反応に私はびっくり』

「はは。疲れてるな名前!」

元気ですねエースさん






城に行くまでの道のりは、もう本当に大変だった。ちょっと目を離せば茂みに入ろうとするエース。しかも真逆を指しながら「こっちだよ」って言った時には全身の血が引いた。そんなこともあり、私はすごく疲れていた。






「お帰りなさいませエース様」

「ただいまー」

『(使用人…?)』

「お客様、いらっしゃいませ」

『えっと…お邪魔します?』

「何それ」

『ちょ、笑うとこ?今の笑うとこ?』






クスクス笑うエースの背中を叩きながら後ろをついて行く。大きな扉の前に来たところでエースは止まった。大きさに感心していたら、エースが扉を開いた。






「ここにいるはずだよ」

『……』






扉を開けて見えた先には、昼寝の時に見た眼鏡の兎耳の青年。私は思わず大声を出してしまった。






『ペーターさん!!』

「…っ、名前?名前!あなたがこんなに早く来てくれるとは思いませんでした!僕に会いに来てくれたんですね!」

『うわっ!?』






飛びついてきたペーターさんに耐え切れず、私は床に思いっきり倒れた。






『い、いた…!痛い!お尻打った…!』






涙目になるのは仕方がない。だってお尻強打だよ。しかもペーターさんが乗ってるから二重に痛い。






『ペーターさん、ちょっと降りてください。私死にそうです』

「ああ!すみません。あなたに会えた喜びのあまりつい…!」

『だから早く降りんかあああああ!』






謝っているくせに余計に抱きついてきてお尻が痛かった。その拍子に私の本性が出ちゃいまして…。まぁ、簡単に言えば少し口が悪くなります。日本人は礼儀正しいと言われていますが、こんなもんです。ペーターさんが上から退いた後、私はお尻を押さえながら立ち上がった。





「ペーターさんが怒鳴られて素直に聞いてるとこなんて初めて見た」

『そうなんだ。ちょい悪なんだねペーターさん』

「僕は名前を愛していますから!それよりエース、その汚い手を名前から離しなさい。撃ちますよ」

『…っ!』






ペーターさんの時計が銃に変わる。こんなの聞いてないよユリウスさん。時計が銃に変わるなんて…。






「やめなよペーターさん。名前が怖がってるだろ?」

「あなたが手を離せばいいだけです」

「嫌だよ」

『エース…!』

「チッ。これだから騎士は…嫌いなんですよ!」






引き金に手をかけたペーターさんを見て私は目をつむった。






「やめぬかホワイト。城の中で銃を出すな」

「女王…しかし!」

「やめろと言っておるのが分からぬか。娘も怖がっておる」

『あ…』






その瞬間、私は足の力が抜けて後ろに倒れそうになった。






「おっと」

『う…。ありがとうエース』

「いいって。大丈夫?」

「あー!名前に触らないでください!」

「首をはねるぞ?」

「っ…」






ハートの城は怖い。そうインプットした私だった。










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