センニチソウ | ナノ

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「ああ、夢みたいです!名前と一緒に暮らせるなんてっ」

『……よろしくビバルディ』

「よいよい。自由に使って良いからな。…その代わり、わらわの相手もしておくれ?」

『うん!絶対する!』






こんな美人な人に誘われて、嬉しくない訳がない。つまり、すごく嬉しい。あまりの嬉しさに、頬が勝手に緩んでしまった。






「っ〜!名前、可愛いです!」

『へ?』

「はははっ、ペーターさんってばお熱いなー。でも、確かに可愛かったぜ」

『…あ、ありがと』






こんなこと言われたこと……いや、あるか。たった二人の人だったけど。紅茶を見つめながらそんなことを思う。






「名前?」

『え…』

「どうかしたのか?紅茶が口に会わなかったのなら、それを作ったメイドの首を刎ねてやるぞ」

『刎ね…!?全っ然おいしいよ!このメイドさんに紅茶を教わりたいくらいっ』

「なら良いのだが…」

「それより名前、こちらの世界にはもう慣れましたか?」

『いや…こっちに来てあんま経ってないんだけど』

「そうですけど…。早く慣れてくださいね」






両手を握りしめられて、私を覗き込んでくるペーター。赤い目が少し潤んでる。耳も垂れ下がってるし。…もうやだこいつ。どんだけ乙女心を弄んでくれるんだちくしょう。






『ペーター…』

「はい。なんですか?」

『耳、触らして?』

「っ…いいですよ!どんどん触ってください!あなたになら、どれだけ触られようが嬉しいです!」

「えー、耳が触りたいだなんて、名前変わってるね」

『これが普通だよエース君。なんたって兎だし、小動物だし!ほら、耳の触り心地最高』

「ふーん。じゃあ、俺も触ってみようかな!」

「駄目です!あなたが僕に近づくことも嫌なんです。それを触るだなんて…殺してあげます」

「なんだよペーターさん、俺傷つくぜ」






小動物………なのか?なんだかんだでビバルディが二人を止めて、私は客室に案内された。結構広い…さすがお城。ぼふん、とベッドに正面から倒れ込む。静かな空間。なんだかんだでこの世界に慣れた自分がいる。でも…。






『帰って、お父さんとお母さんに…』






そこで私は意識が途絶えた。










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