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18
「ああ、夢みたいです!名前と一緒に暮らせるなんてっ」
『……よろしくビバルディ』
「よいよい。自由に使って良いからな。…その代わり、わらわの相手もしておくれ?」
『うん!絶対する!』
こんな美人な人に誘われて、嬉しくない訳がない。つまり、すごく嬉しい。あまりの嬉しさに、頬が勝手に緩んでしまった。
「っ〜!名前、可愛いです!」
『へ?』
「はははっ、ペーターさんってばお熱いなー。でも、確かに可愛かったぜ」
『…あ、ありがと』
こんなこと言われたこと……いや、あるか。たった二人の人だったけど。紅茶を見つめながらそんなことを思う。
「名前?」
『え…』
「どうかしたのか?紅茶が口に会わなかったのなら、それを作ったメイドの首を刎ねてやるぞ」
『刎ね…!?全っ然おいしいよ!このメイドさんに紅茶を教わりたいくらいっ』
「なら良いのだが…」
「それより名前、こちらの世界にはもう慣れましたか?」
『いや…こっちに来てあんま経ってないんだけど』
「そうですけど…。早く慣れてくださいね」
両手を握りしめられて、私を覗き込んでくるペーター。赤い目が少し潤んでる。耳も垂れ下がってるし。…もうやだこいつ。どんだけ乙女心を弄んでくれるんだちくしょう。
『ペーター…』
「はい。なんですか?」
『耳、触らして?』
「っ…いいですよ!どんどん触ってください!あなたになら、どれだけ触られようが嬉しいです!」
「えー、耳が触りたいだなんて、名前変わってるね」
『これが普通だよエース君。なんたって兎だし、小動物だし!ほら、耳の触り心地最高』
「ふーん。じゃあ、俺も触ってみようかな!」
「駄目です!あなたが僕に近づくことも嫌なんです。それを触るだなんて…殺してあげます」
「なんだよペーターさん、俺傷つくぜ」
小動物………なのか?なんだかんだでビバルディが二人を止めて、私は客室に案内された。結構広い…さすがお城。ぼふん、とベッドに正面から倒れ込む。静かな空間。なんだかんだでこの世界に慣れた自分がいる。でも…。
『帰って、お父さんとお母さんに…』
そこで私は意識が途絶えた。
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