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17
『ただいまー………?』
「あ、おかえり名前!」
バタン。ガチャッ
「なんで閉めたんだよー?」
『なななな!?なんでエースが!?』
扉を開けたら、エースがいた。しかもユリウスと一緒に。あまりの驚きに、素直に聞いてしまった。
「ははっ、親友のところに遊びに来るのは普通のことだろ?」
『親友?』
「誰のことを言っているんだ」
「水臭いなあ」
ユリウスは眉を寄せてエースと話している。この二人仲良いんだ。なんか意外な組み合わせ。
「名前は此処に住むんだっけ?」
『一応…。でも、考え直した方がいいかもって』
「どうして?」
『この塔………生活できるのがこの部屋しかない』
「なるほどねー。ははは、それは大問題じゃないか」
ユリウスはまた仕事に戻っている。でもなー、…ユリウスの傍が落ち着くというか。でも生活感ないし…。
「城に来る?」
『え?』
「女王陛下も喜ぶし、ペーターさんだって喜ぶと思うぜ?俺も歓迎するし」
『お城……』
確かに客室とか沢山あって、此処より生活はできるかも。
『んー…』
「な?いいだろ?」
『ん〜…』
「ユリウスもそう思うだろ?」
「…私は関係ないだろう」
「あるよー。名前が住もうとしている所の家主だ」
ユリウスは作業の手を止めて、エースを見た後に私を見た。
「…はあ。私も、城の方が良いと思う。此処には何かある訳でもなければ、遊ぶ奴もいない」
『ユリ、ウス…』
「別に出て行けと言ってる訳じゃないからな!……お前が過ごしやすいのは、城だと言っているだけだ。今から生活品を揃えるのは、お前も大変だろうしな」
『………』
「ユリウスもこう言ってることだしさ。城に来ない?」
うう…。今から生活品を揃えるのは確かに大変だし、それこそユリウスの迷惑になりそうだしな。椅子に座ったままのユリウスに視線を向けた。
『…遊びに来てもいい?』
「!…好きにしろ」
ユリウスは顔を赤くしながら、また作業に戻った。落ち着いたら、ユリウスにお菓子を作ろう。コーヒーに合うようなお菓子。ユリウスに抱きつきたい衝動を抑えながらエースを見る。エースはにっこりと笑っていた。
「なら、早速行こうか」
『え…』
「え…って、城に決まってるだろ?」
『待って!もしかしてエースが?』
「ん?連れて行くぜ。俺は騎士だし、城に帰らなきゃそろそろ女王陛下がお怒りになるしなっ」
『………』
「あれ?おーい。……どうしたんだろうな」
「お前が原因だと思うぞ」
エースと一緒に帰るだなんて…もう悪夢としか言い様がない。
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