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15
『うー……』
「はは!アンタ乗り物弱いんだなっ」
乗り物弱いとか、もう関係ないと思います。そんな言い返しも、今ではすっかり言う気にもなれない。一番最初のクニャクニャなジェットコースターもあれだけど、さっき乗ったコーヒーカップの方が手強かった…。
「大丈夫か?」
『…ちょっと楽になった』
「ボリス!」
「げっ」
ボリスの名前を叫ぶ声が聞こえる。それに振り返ったボリスは、心底面倒くさそうな顔をした。走って来たのは…ボリスのお父さん?
「お前は!メンテナンスをしろって言っただろうがっ」
「だーかーらー、今してんだろうが!」
「どこがだよ!!」
目の前で言い合いを始める二人に、私はぽかんとするしかなかった。周りの人の視線が痛いけど…従業員さんたちは「またか」という目で見ている。何これ恒例行事ですか。二人の間に入ることなんてできず、私はベンチに座っているだけ。そんな最中、ボリスと言い合いをしていた男の人と目が合った。
「あ、悪ぃな!お客さんにこんなもん見せちゃいけねぇや」
『いや、もう意味ないですよ』
「…………」
しまった。私は初対面でなんてことを言ってしまったんだろうか。気づいた時には言ってる後で、男の人は驚いたような顔をしている。これは謝らないと…。
『あの…、すみま「あんた面白い人だなあ!」……え?』
目の前でガハガハ笑う男の人に私は逆に驚いて、ボリスは呆れた顔をしていた。
「俺はゴーランド!この遊園地の管理者だ!」
『私は名前ですって、え!?遊園地の管理者!?』
「びっくりだよなー」
「ボーリースー?」
にししっと笑ったボリスに、どこから出したのか大きな銃を向けるゴーランドさん。訳も分からないうちにゴーランドさんはバン!と撃ってしまった。
『っ……!』
「おっと。おっさん危ねぇよ!んなもん振り回してたら!」
「うるせーよ!このバカ猫!」
『ちょ……!!』
「おお、あんたも手伝ってくれよ。名前っつったな。あんたの武器も見てみたいし!」
『持ってませんよ!』
「「は!?」」
私のその一言で二人は止まった。え、普通でしょうよ持ってないなんて。どっからどう見ても隠し持ってるようには見えないからね。しん、とした空気に冷や汗をかく。私は悪くない私は悪くない。それでも後退ってしまうのは、二人の気圧がすごいからということにしよう。私が固まっていると、二人が同時に顔を近付けてきた。
『ひっ…!?』
「「あんた、余所者かっ!!?」」
『え!?あ、はい!』
あまりの怖さに、私は返事に力が入ってしまった。
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