「名前！」
『ねぇ……。なんで不法侵入なんかしてるの？』
「クフフ。何を言ってるんですか。此処はもう僕たちの愛の巣『黙れ』……本当、ツンデレですね」
『いつわたしがデレた』
「もちろん、僕の腕の中ですよ」
『多分、夢の中じゃないかな？腕じゃなくて』
「名前、今日はバレンタインですよ」
『話を逸らすな。………だから何？』
「僕に渡すつもりだったでしょう？テレパシーで分かりましたよ」
『だったら「帰れ」っていうテレパシーも感じとってるよね。帰れ』
「嫌です！名前からチョコレートを貰うまでは…！」
『用意してないよ』
「まったく嘘が上手いですね」
『本心だ本心。あ、でも冷蔵庫にチョコあったかも。適当に取って帰ったら？』
「……適当じゃないですか？」
『今更か。はぁ……チョコ受け取ったら帰る？』
「分かりません。そのまま名前を頂くか『今すぐ帰れ変態めがっ』…………冗談ですよ」
『だったらなんで悲しんでんのさ。……まぁ、いいや。ちょっと待ってて』
「はい。（まさか作ってないとは…驚きですね。というか、残念です）」
『はい』
「ありがとうございます」
『じゃあ、とっとと帰る。それと、帰ってから開けてよね…』
「分かりました。ホワイトデーは『いらないから』……」
『…ごめん。そんな悲しまないでよ。また明日ね』
「また明日」
「やっぱり気になりますね。開けてみましょうか……………」
僕は名前との約束を破り、中身を見た。可愛いラッピングがされてある。まさか………。
「……やっぱり。名前はツンデレじゃないですか」
中には、ちゃんと手作りのチョコレートが入っていた。
「……その場に残って名前を頂くべきでしたね」
ちゃんと渡せたバレンタイン
『人の気も知らないで……バカ』