私はさくさくと森を探索中。いわゆる人探しをしている。ビバルディも変な知恵を付けたものだ。エースを探すのはペーターや兵士さんたちではなく、私が最適だと判断した。
『森の中だとは限らないしなー』
そんなことを思いながら森の中をずんずん進む。森も広いし、そう簡単には見つからないんだろう。そう思った矢先、何処からか女の子の悲鳴が聞こえてきた。
『!?』
「エース!大丈夫!?まだ死ぬなあああああああ!」
「ははっ、また引っ掛かっちまったな」
エースという名前が聞こえて、悲鳴が聞こえた方に走る。すると、落とし穴に向かって叫ぶ女の子が見えた。…またはまったんだ。そんなことを思いながら近寄る。待てよ、女の子?ばっと女の子を見れば顔がある。余所者?あ、でも兎耳がある。役持ちだろうか。
『えっと…大丈夫?』
「え?…え!?」
「その声は名前?もしかして探しに来てくれた?」
『もしかしなくてもそうなんです』
「そんなに俺に会いたかったのかー。あ、出るの手伝ってよ。ルナはテンパり過ぎて言葉が通じないんだ」
『ルナ…』
エースの手伝ってという言葉を無視して女の子に話しかける。
『私名前って言います。こっちの世界では余所者らしいんだけど…ルナさんは役持ちさん?』
「え、ううん違う!私も余所者!ルナマリア=セシルって言うの」
『余所者!?その兎耳どうしたの!?』
「ちょっと変なもの飲んじゃってね」
一体何を飲んだのかは聞かないことにしよう。二人で話していたら、エースはいつの間にか上がって来ていたらしい。ほら、やっぱり上がって来れた。
「酷いなあ二人とも、俺を放って話しちゃうなんて」
「うわっ!びっくりした!」
ルナの後ろから抱きつくエースを見ながらため息を吐く。とりあえずビバルディが呼んでいると言ったら嫌な顔をされてしまった。
「だから名前が寄越されたのかー。俺騎士だから女の子の言うことは聞かないといけないんだよね」
『よく言うよ、そう言ってこの間もキャンプで終わったから。私忘れてないよ!』
「俺との夜を忘れられないなんて…積極的だなあ」
「『お前の頭はハッピーか』」
見事ルナとハモってしまった。ああ、ルナも付き合わされているんだろうなと思いながらまた溜息が出た。すると、視界の端をちらつく兎耳。さわ…触りたい!
『…ね、ルナ』
「何?どうしたの?え、なんでそんなに目がキラキラしてぎゃあああああああ!」
『うわっふさふさ!さすが兎耳!ていうかもう本当気持ち良い!』
むぎゅっとルナの頭にある兎耳を掴ませてもらった。いかんいかん、ついね。
『ごめんねルナ。悪気は無いんだ』
「なぜ笑顔!?」
「名前っ!!」
『……ペーター?』
後ろから声が聞こえて、見てみるとペーターだった。探しに来たんだ此処まで。懲りないストーカーめ。
「ああ探しましたよ!あなたがどこぞの迷子に攫われたと聞いて…!」
『それはどこ情報ですか?』
「名前、大変だね」
『そこで見捨てようとしないでルナ。見捨てないで助けて!』
「ルナではありませんか!元気にしてましたか?」
「お陰様で!」
「それは良かった」
「嫌みだあん畜生」
「ていうか俺、ペーターさんに悪口言われた?」
エースは未だルナに引っ付いたまま。それより私の視界に二匹の兎がいることの方が大問題だ。さっき自制しようと決意したばかりなのに…!ぎゅっと手を握り締める。ペーターはまだ良いとして、さすがにルナまで巻き込めない…。
『ペーター…』
「はい、なんですか!」
『ちょっと耳貸してね?』
「っもちろんです!」
『ありがと、(これで少しは我慢できる…といいな)』
「あーあ、イチャコラしだした。俺らもする?」
「一昨日来て下さいますか?」
「照れるなよー」
「照れてない!ていうか手!手が変な位置にある!」
「ははは」
『ふさふさ…これはもうぬいぐるみとか抱き枕とかにしたい!』
「僕が抱き枕ですか!嬉しいです!あ、でも名前を抱き締めたくもありますから抱き枕は…いえ!名前が望むのであれば!」
「えっと……、女王陛下がお呼びなんですが…」
深く深く森の中、兵士が見たのはカオスと化した一角でした。
「ああ!折角会えた同士なのにあまり話せてない!」
『ああ!折角会えた女の子の兎だったのに耳をあまり触れてない!』
(第一印象って結局なんだろうね)
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執筆:2011.8/23
たらんたランタ様とのコラボ作品です^^佐菜様に捧げます!このような出来で申し訳ないです…およよ。こちらは佐奈様んちのアリスヒロインさんとコラボしました。連載の番外編にしようとも考えましたが、そこまで進行もしていないので断念いたしました´∧) 単品で楽しんで頂けたらと思います。受け取って下さい^^