こんにちはルナマリア=セシルです只今ビバルディに集合をかけられてハートの城に向かって森の中を歩いているところです、いや歩いているところでした。
すると――いきなり後ろからうさ耳を引っ張られましたいや痛い凄く痛い。エリオットの気持ち今なら分かる。
「痛いんですけどおおお!」
「あれっ?」
後ろを振り向いてみれば黒い瞳をまん丸くさせた綺麗な黒髪をもつ女の子がいた。
「黒…髪?」
「エリオットかペーターかと思って間違って引っ張っちゃった!ごめん大丈夫?」
「うっうん大丈夫、見ない顔だけど貴方は?」
「私はいわゆる余所者ってやつで小田知美っていうんだ。今はハートの城でお世話になってるの」
よっよよよ余所者!?しかも日本人!?いや黒髪だから予想はしてたけど余所者おおお!?
「同士よ!!!」
私はおもいきり知美の手を握った。まさかまさか、私とアリスの他に余所者がいたなんて!ああこの人もペーターの被害者なのか。うんうん。
「同士ってことはつまり――」
「そう!私も余所者なの!私はルナマリア=セシル!私のことはルナでいいから!」
「私のことも知美でいいよ。ところでルナはどこに行こうとしてたのさ?」
「ああビバルディに集合かけられちゃってね、ハートの城に向かってたところなんだ」
「なーんだ!私もユリウスのところからハートの城に帰ってるところだったんだ」
「本当に?なら一緒にハートの城に行きましょうよ」
「もちろん!」
***
「知美!お帰りなさい!どこに行ってたんですか!僕ずっと待ってたんですよ!もう知美に会えない間、僕は寂しさのあまりに死んじゃうところでしたよ!」
ハートの城に着いた途端にがばっと知美に抱きついているペーター。どんだけ会えて嬉しいんだ。てか待ち伏せってやつですか。もう嬉しいの域を越えて色々と怖いんだけど。知美はいきなり抱きついてきたペーターを支えきれずに尻もちをついていた。うーん痛そう。
「ああ知美会いたかったですよ!僕は知美を愛しています!!僕は貴方のためなら「うん分かったから私のためを思うなら今すぐ退いてくれないかなすごく重いんだけど」
「ああ知美いいい!!」
「早く退っていってんでしょうがああああ!!!」
知美から怒鳴られてペーターは素直にいうことを聞いた。
「おやルナ、来てたんですか?」
「うんさっきからずっと一緒にいたんだけどね」
「ああ拗ねなくてもいいじゃないですか。もしかして妬いてるんで「黙ろうかペーター」
「ルナ、こんなの放っておいて早く行こう」
「そうだね知美」
「ああ待ってくださいよ知美!ルナ!」
ペーターは気持ちが悪いくらいニヤニヤしながら後を追いかけてくる。あれだけ罵られてまだ追いかけてこられるペーターの精神力を疑うよ。というか何でそんなにニヤニヤしてるの。
「おおルナよく来たな、知美もお帰り」
「うんビバルディが来ないと首「何じゃ?」ううん!ビバルディに会いたくってさ!」
「ただいまビバルディ」
ああ恐ろしい。笑顔で脅してくるんだもの知美も作り笑い浮かべてるし。時間帯が夕方で良かったって心底思うよ。
「さあ知美も帰ってきたことじゃ、お茶会を開くとしよう」
「知美!そんなお茶会よりも僕と楽しいデートをしま「しないからね」
「ああそんな照れなくってもいいじゃないですか!まあ可愛いからいいですけどね!」
「…ペーターの頭の中って本当にどんだけおめでたいの」
「全部自分の都合の良いようにしか解釈されてないしね」
「知美!ルナ!何をしておるのじゃ!早くゆくぞ」
***
「相変わらずビバルディの選んだ紅茶は凄く美味しいわ」
「茶菓子も美味しいし!」
「それは良かった」
「知美が幸せそうで何よりです」
「知美は紅茶は何が好きなの?」
「私は基本何でも好きだけど一番はダージリンだなあ」
「僕は知美、貴方が一番ですよ」
「私はアールグレイも好き」
「僕はルナも好きで「なんでペーター貴方がここにいるのかしら!」
「それはもちろん、貴方たちと一緒にいたいからです大好きですよ!」
そういうや否やペーターはいきなりペーターの存在を完全に無視し紅茶を飲んでいた知美に勢いよく抱きついた。――もちろんいきなり抱きつかれたものだから知美は紅茶を見事に噴き出した。そして知美の前に座っていた私の顔面にその紅茶が見事にかかる。
「熱ううううう!!!」
「ごっごめんねルナ!わざとじゃないから!本当に全てはこのペーターが悪いの!いきなり何するのよペーター!」
怒り噴騰の知美は目の前においてあった生クリームのケーキをペーターに向かって投げつける。――が。
「酷いなあ知美!いきなり投げつけてくるなんてないぜ」
「げっ!エース!」
ペーターがひょいと華麗に避けたそれは神出鬼没のエースさんの顔面に見事にあたった。エースさんの顔を見れば相変わらずの笑顔だが、目は笑っていなかった。そのことに気がついた知美は―――
「エッエエエエース!ごめん!ごめんなさい!これわざとじゃないの!エースに投げつけるつもりなんて全くなくて本当はペーターに投げつけるつもりだったんだあああ!!!」
かなりテンぱりながら必死で言い訳をしていた。
「ははは何をそんなに慌ててるんだ?大丈夫だよそんな怒ってなんかないからさ!」
じゃあその手に持ってるものは何だと問いたい。――エースさんの手に持っているものはチョコレートのホールケーキ。
「ただ俺だけが当たってたんじゃ相子じゃないだろ?だから知美もね――!」
「うわわわわわ!!だからエースごめんって言ってるじゃん!!!」
「安心して下さい知美!知美のことは僕が守ってみへぶっ」
エースさんが投げたケーキが見事にべったりとペーターの顔面に当たった。わあお、見事に眼鏡までチョコレートだ。
「エースくんがそんなに死にたかったとは知りませんでしたよ。じっとしていて下さいすぐに死なせてあげますから」
ペーターは時計から銃に変えつつ、もう片方の手でチーズケーキを持つとエースさんに向かって投げつけた。――が、エースさんがひょいと避けたのでその後ろにいた私に見事に当たった。
「ふごっ!!!」
「ああああ、ルナ!なんて哀れで汚らしい姿に!」
「ねえそれどの口がいってんのあんたのせいでそんな姿になったんだけど」
私はペーターに投げつけてやるべくいちごのタルトを構えた。――が。
「ふごべらっ!!!」
見事に知美に当たってしまった。
「とっととと知美いいい!!!大丈夫!?ごめんなさいごめんなさい!私知美に当てるつもりなんてなかったのよ!」
「分かってるルナ、全部あの馬鹿うさぎが悪いんだよね!」
知美は傍にあったアップルパイをペーターに投げつけた。――が。
「知美がそんなに俺のことが嫌いだとは知らなかったなあ」
相変わらずの笑顔。だが目は笑っていない。知美は滝のように汗を流している。
「ちちち違うのエースに当てるつもりはさっきもいったけど全くなくって!」
「ケーキ合戦なら負けないよ!!!」
そんなのしてねえええ!!!私の負けでいいからそんな今にも銃とかが出てきそうな合戦止めてくれ!!!
とか何とかいってる内にエースが投げたケーキが恐れていた人物に当たってしまった。
「ビッビバルディ…」
「だっ大丈夫?」
「これが大丈夫に見えるとでも?」
「「いいえ全く見えません」」
「エース貴様!!!わらわに向かってケーキを投げつけるとはいい度胸をしておるではないか!死刑じゃ!!」
「それは激しく賛成です」
「何をいっておるホワイト!お前も死刑じゃ!!」
「はあ!?何を寝ぼけたこといってるんですか!冗談はそのケーキ塗れの顔だけにして下さい、よっ!」
ペーターがビバルディにケーキを投げつけたことでまたケーキ合戦が再開し、時間帯が変わるまでこのケーキ合戦は続いた。
投げるものではありません。食べるものです。
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たらんたランタの佐菜様から頂いたコラボ作品です^^予想以上のもので驚きました。ケーキ合戦なんて、多分面白いんだろうけど勿体なくてできない…これこそ二次元でしかできません(笑)
佐奈様、ありがとうございました!