わたしと同じクラスの坂田君。同じクラスなだけであんまり話さない人。話し掛けにくいとかそんな理由じゃなく、話すこともないから。そんな彼と、この度同じ委員会になりました。
『坂田君、この本……』
「お?ああ、貸しな」
『ありがとう』
見ての通り、わたしはあまり話すことが得意じゃない。自分で言うのもなんだけど、いつも何かに怯えた感じ。友達にも言われたことがある。兎みたいだって。あんな可愛くはないけど…。
「しっかし図書委員って暇だなー」
『…なんで図書委員にしたの?』
「ん?暇だから」
『…へ、へえ…(どうしよう。言ってる意味が分からない)』
「暇ー!」
暇だ暇だと言う割に、暇だから図書委員を選んだと言う。よく分からないな坂田君。そんなことを考えながら、返却された本を棚に戻す。むむ…これはちょっと高いぞ…。うんと手を伸ばすけど、あとちょっとのところで届かない。これ以上すると手がつる…!
「なーにしてんの」
『あ、坂田く』
「こうゆうのは俺に任せなさい」
『え?あ…』
「ここでいいんだろ?」
『う、ん』
「よっ…と。はい、終わりー」
『…ありがとう』
さっきまで暇だ暇だとダルダルしていた坂田君。急に背後にいたりするから、わたしの心臓はすごい速さで脈を打つ。お礼の言葉にいいってと返す坂田君はニカッと笑っていて、また胸が跳ねた。
「名字ってさー、本好き?」
『へ?』
「なんかいっつも見てるよなー」
『うん…好き、かな』
「…!そ、そっか」
『?』
そっかそっかと連呼する坂田君に頭を傾げる。坂田君は本好きかな?
『坂田君は…』
「ん?」
『坂田君は、本…好き?』
「あー、まあ好きっちゃ好き。特に好きなのは全ページに文字と絵があるやつ?銀さんあれ好きだわー」
『……漫画が好きなんですね』
「よく分かったな!」
誰だって分かると思う。なんてことは言わず、とりあえず笑っておいた。そろそろ放課後も終わりで、帰ろうと準備をしていたら、坂田君がわたしの肩に手を置いてきた。
『…坂田君?』
「あの、よ……」
『……』
「その……あー、なんだ。送る」
『え…?』
「っほ、ほら!夜だし危ないだろ!?どうせ同じ方向なんだし、さ!」
『え、あ…うん!』
真っ赤になった坂田君を見て、わたしも真っ赤になりながら焦って頷いた。坂田君の隣を歩くのは、なんだかむず痒い。少し後ろを歩いていたら、それに気付いた坂田君が歩く速度を落としてくれた。う…緊張が…。
「じゃあな」
『う、ん。また…明日!』
「…ぷ。おう、また明日な!」
笑いながら帰る坂田君に胸が鳴る。坂田君の背中を見ていたら坂田君が手を挙げた。それにまたドキドキして、わたしは手を振り返す。こんなの初めてだ。明日がまた、楽しみだなんて…。
この時は、坂田君と一緒の当番の日が楽しみになるだなんて、思ってもなかったんだ。
(それは、とても幸せな…)
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これは続く…のか?
ご要望があれば
続かせていただこうと思います!
桃様、
遅くなってしまい
本当にすみません!(><)