『イース!』
「……遅い」
『ご、ごめん!委員会が長引いて…』
息を切らして走って来る名前に合わせて僕も床から立ち上がった。下足場で待っていた僕。今日は少し肌寒いせいで手が冷たい。どんだけ待たせたと思ってるの。委員会なら委員会だって一言言ってほしかったね。汚れたズボンを叩きながら名前をチラ見した。
『ごめ…!こん、なに…遅くな…とは、思わなく…って!』
「……」
息が乱れたまま話す名前。待ってる間に嫌われたかも、…なんて思ってないからね!無言で手を出せばびっくりしている彼女。
「………何?」
『へ!?あ、ああ…!いや、許してくれるの?』
「…別に。気にしてないだけ」
『……そっか』
ごめんね、と言いながら笑う彼女に、なんで笑ってるのって小突けば「内緒」と返ってきた。ふにゃっと笑う名前に少しドキっとし…てないから!別に何とも思ってないから!とりあえず靴を履きかえて学校を出る。いつもより遅い時間で、少し日が暮れていた。繋いでいた手は靴を履きかえる時に離してしまって、手を差し出すのもタイミングが分からない。
『文化祭が近いねー』
「何?今日の委員会は文化祭のことだったの?」
『うん。あと1ヶ月とちょっと』
「ふーん」
『イース。今年も一緒に回ろうね』
「…普通に考えて無理だと思うけど」
『うっ…。そうだけど〜』
去年みたいにクラスが一緒じゃない僕らは、休憩を合わせるのも無理だと思う。あからさまにしゅん、となっている彼女を見て、僕はため息をついた。
「別に、名前に合わせてあげてもいいけど…」
『ほんと!?』
キラキラする名前に、なんて露骨な奴なんだと思いながら、そんなに回りたいと思っていてくれたことに嬉しく思った。顔が熱くなって、崩れていくのが自分でも分かる。それを隠すように、僕は名前のおでこを軽く叩いて「帰るよ」と言った。
『照れてるの?』
「っ…!別に照れてない!」
『ははっ。うん、そうだね』
後ろで笑っているであろう名前を置いてスタスタ歩く。それに気づいた名前は走って来て、僕のシャツを掴んだ。
『約束!約束ね、イース!』
「…仕方ないな」
指切りげんまんをした後、僕はゆっくりとキスをした。
『い、イース!?』
「顔、真っ赤」
『っ〜……』
まだ繋がっている小指を軸にして、指を絡めた。こうやって、僕しか見れない顔はすごく好………好きだよ!ああ大好きだよ!可愛いなんて思ってるけど言わないからねっ。
『(イースってば、いつの間にあんな技を覚えたの!?)』
「(名前って……あんなに色気あったっけ?)」
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遅くなってしまい
誠に申し訳ありません(´〜`;)
アイス君をかくと、
どうしても
純愛になってしまうという…
謎のアイスクオリティー。
リクエストありがとうございました!