『ぎゃあああああ!』
「悪いごはいねがー」
ハル自信は怖くない。怖くないけど持ってる槍がいけない!なんかわたしに向いてるし!塔の中を逃げ回る。
「アリス、咬み殺すよ」
『ダメですってええええ!』
「…だったらどうするの」
『とりあえず……捕まえます』
確かポケットの中に……。走りながらスカートのポケットに手を伸ばす。あ、そういえば制服のポケットの中じゃん!
絶望感に襲われた時、ポケットの中で手が何かに触れた。紙?掴んで出してみると、わたしが探していたものだった。なんか四次元ポケットみたい。走る足をぱっと止めて振り返る。
『ハル!』
「はひ?なんですか?」
『これなーんだ!』
わたしの一声で雲雀さんとハルの足が止まる。ハルの目がわたしの手の中の物に集中する。正体が分かったらしく、ハルが赤面した。
「つ、ツナさんのショット…!!」
『ハルが普段見られない寝顔とか学校の授業の時とか、』
「か、かっこいいですううう!」
『は?え、ちょ……!』
わたしに向かって突進して来るハル。雲雀さんが助けてくれなかったら、確実に怪我してました。
『ありがとうございます。でも……トンファーは出さなくてよかったかな』
「捕まえることができたんだから僕に感謝しなよ」
『捕まえる以前にハルが旅立ちそうです雲雀さん』
ガン!と音がしたと思えば、ハルがトンファーの餌食となっていた。いたそー。可哀相だけど、縄を出して身動きできないように巻く。
『ふぅ……これで終わりか』
「暇潰しにもならないね」
『え、暇つぶしだったんですか』
一息つく為にその場に座り込む。なんか疲れた……。眠気も襲ってきて、まぶたが下りる。ポカポカした太陽が当たるし、こりゃ昼寝のスポットだわ。
「アリス、寝るの?」
『ん……』
「………お疲れ様」
雲雀さんの声が聞こえた後、額に柔らかい感触がした。多分、雲雀さんなんだろうけど、今はもうすごく疲れてたから、そのまま眠りに着いた。