『ん…………』
「起きるのな!」
『うえ?…………武?って、なんでうさぎの耳なんか…』
「まぁまぁ気にすんなよ!……やっべ、時間がねぇな」
『ここ何処?………ていうか、なんでこんな服着てるの!?』
「今は時間がねぇから向こうで話そうぜ!」
『は?向こう?』
「ほら。行くぜ!」
『え?ちょ…!うきゃああああああああああっ!!』
不思議の国のアリス
『たたたた武!はははははは速すぎだよおおお!』
「時間がねぇからな。大丈夫か?」
『な訳あるかあああああああ!!』
木陰で寝ていた少女、アリスは、うさぎさんに手を引っ張られながら走りました。
うさぎさんは足が早い為、引っ張られるアリスはボロボロ。そんなアリスに気付いたのか、うさぎさんは少し悩み、何の躊躇いもなくアリスを抱きあげました。
『うわ!!たたたた、武!?』
「こっちの方が速そうだな!」
『え!?お、重いからいいよ!』
「行くぜアリス!」
『アリス!?うあああああああああああああ!!』
うさぎさんは先程より速く走り、不思議の国へ続く入口を目指しました。
「アリスに触れてラッキー」なんて思いながら。
そんなこんなで連れて来られたのは一本の木の前。アリスはようやく止まったことに安堵していると、浮遊感がアリスを襲います。
『えええええええ!?不思議の国に行くのこれしかないのおおおお!?』
「大丈夫だぜ、俺がついてるしさ!」
アリスはあまりの怖さにうさぎさんに抱きつきました。それをゆっくり抱き返します。そしてアリスを自分の方に引き寄せたかと思うと、ボソッと何かを言いました。
「なんで俺が王子じゃなかったんだろうな……残念だぜ」
『……たけ、?』
上を向いて顔を見ようとした瞬間、ふっと景色が変わりました。
そして浮遊感もなくなり、気づけば地に足が着いています。
コツコツ、と歩くアリス。目の前には小さなドアを発見。
『えっと……クッキーを食べるんだっけ?あ、鍵持ってから食べなきゃ』
そう言いながら一口パクリとクッキーを食べます。みるみる小さくなったアリス。大きな服は脱げてしまい、ここは物語クオリティーで小さな服を着たアリスが出て来ました。
ギィ、と開いた扉をくぐり、アリスは不思議の国へと踏み出しました。