企画 | ナノ

『今日はバレンタインだってー』

「女子たるものがそんなんでいいの」

『ということで祐希君。よろしく』

「普通は名前が作るもんだよ」

『わたしは断然貰う側です』

「せめて本命には作ろうか」

『…………』

「え、何。俺には作れないって?」

『ちょ、祐希!?』

「あー、逃げるんだー」

『腰に手を回されたら逃げるわあ!』

「ならチョコ作ってよ」

『………それは嫌』

「………」

『…無言で腰抱くのやめてください』

「だって腹立つ。ていうかチョコなんていらない、名前がいい」

『この発情期があああ!』





パチン、と伸びてきた手を叩く。それでも逆の手を伸ばしてきてキリがない。





『祐希!!』

「……………」

『え、なんでいじけるの。なんで三角座りしてるの』

「だって名前がチョコくれないし。俺のこと嫌がるし」

『べ、別に嫌がってる訳じゃ…』

「じゃあ嫌がんないでよ」

『え?わわ…!祐希!?』





ドテン、と倒れ込んだわたしの上に祐希が覆いかぶさる。手首は抑えつけられてて、抵抗しようにもできない。





『ゆ、祐希君?』

「なんでチョコくんないのさ」

『………』

「言わないと脱がすよ」

『祐希の方が料理上手いからです』

「………なるほど」

『うー。言いたくなかった…』

「いいんじゃない?あと、やっぱりチョコ欲しい」

『……仕方ないな』

「ん。ありがと」





ゆっくり近づいてくる顔に目をつむれば、少し長いキスをプレゼントされた。










少しお返しの早いバレンタイン