『お邪魔しまーす』
「おうおう。って名前かよ」
『悪かったですね名前ちゃんで。もう銀さんにはパフェ奢らない』
「ごめんね名前ちゃんんんん!!」
『新八君は?』
「お前虐めるだけ虐めて無視すんなよ。新八は買い物行ったぞ。もうすぐ帰ってくんじゃねぇかー?」
『じゃあ、それまで待っててもいい?』
「別に構わねぇよ。今日はなんかあったっけか?」
『今日はバレンタインだよ。あ、銀ちゃんには関係なかったね』
「うるせェェエエエ!どうせ新八も貰えねぇよ」
『残念。今からわたしが渡すんだな』
「てんめ!俺にはないのかっ」
『ないね。わたしは新八君にしか作ってないもん』
「なんで俺にも作って……ん?おめぇ、新八にしか作ってないってことはよ、本命ってことじゃねぇか」
『そうだよ』
「おーおー今時の若いもんは。もうちょっと照れるとかねぇのかよ」
『ない』
「堂々としてんな」
『本命は本命でしょ?新八君はお通ちゃんが本命なんだろうけど』
「あー、あれは男が一度ハマるもんなんだよ。だから気にすんな」
『慰めてる?』
「銀さんの好感度上がるか期待してる」
『上がった上がったー』
「棒読みかよ」
『早く帰って来ないかなー』
「また無視かよ。………ん?」
『何?ついに天パがストレートになったの銀さん』
「ちっげェェエエ!ったく。新八!そこにいんなら入れよ!」
『………いるの?』
ガラガラ………
「あの……えっと、」
『……本物だ』
「ったく。あとは若いもん同士ラブラブでもなんでもしてくれ。…ったくどいつもこいつも。何がバレンタインだコノヤロー」
そう言いながら銀さんは万事屋を出て行った。最後のはモテない男のひがみとしてとっておこう。
『新八君』
「はいっ!!」
『そんなに緊張しないでよ…。はい、これ』
「…………」
『……新八君?もしかして、甘いもの苦手だった?』
「い、いえ!!ただ…」
『ただ?』
「僕なんかでいいんでしょうか…と」
『新八君なんかがいいんでしょ。…それと、なんかじゃないよ』
「名前さん………。っ、僕!名前さんのことが……!」
「ただいまヨー」
「アン!」
「てんめっ!今いいところだったでしょうがっ!」
引き戸が開いて、見知った顔が二人と一匹。最初は唖然としたけど、新八君と目が合って、お互いに笑った。
言葉じゃなくても伝わるバレンタイン