『かーむーいー』
「何?」
『あ、いた』
朝からうるさい名前。でも俺の名前を呼んでる訳だから許す。
パタパタパタっと俺に向かって走る姿を見て、いつも以上に頬が緩んだ。
『おはよ』
「おはヨ。どうしたの?」
『……あのさ。神威は甘いもの好き?』
「好きだヨ」
『よかった!はい、どうぞっ』
そう言ってキレイにラッピングされた箱を俺に差し出す。今日俺の誕生日だったっけ?
『今日はバレンタインだよ』
「………あー」
『だから、神威に渡すのです!』
「ありがとう。早速食べてもいい?」
『ん。いーよ』
紐を解いてチョコを一粒手にとる。それを口に含んだら、カカオの香りが広がった。名前がすごくニコニコしてて、今か今かと俺の感想を待ちわびている。可愛いなーほんと。
「おいしいヨ」
『本当!?』
「うん。さすが名前だネ」
『えへへ』
名前は頭を撫でてやると嬉しそうな顔をする。猫とか犬とか……なんかそんな感じがするんだよネ。
『……神威』
「ん?」
『あの……苦しいです』
「んー」
『え、寝るの?寝ちゃうの?』
「朝から名前が起こすから…。俺まだ眠いし」
『ん。じゃあ、部屋行って寝てよ。ここだと風邪ひくよ?』
「名前がいるから大丈夫」
『わたしは湯たんぽじゃないよ。とにかく部屋に行こうよ』
「じゃあ名前も一緒ネ」
『……はいはい』
その後二人で昼過ぎまで寝てました。
「……頼むから仕事してくんねぇかな」
いつもと変わりないバレンタイン