思えばあの日の出来事が僕の運命そのものを変えてしまい、いわゆる異端で異質な世界へと足を踏み入れたきっかけだったのだと思う。
彼に出会って僕は、子供の頃漠然と信じていた正義も奇跡も所詮まやかしでしかなく、大人達の嘯く言葉はやがて幻だと知るのだろう。
世の中を冷めた目で見詰めるような、そんなニヒリズムの一種を、僕は彼の傍で会得したようにも思うし、同時、全て愉快と笑い飛ばす豪胆さと刹那主義の視点も見ることが出来た。
だから色々とあったが。そしてこれからも起こるのだろうが。僕はこの社会の闇の片隅にいても、中々愉しいと思うのだ。
戻らぬ日々に恋焦がれるのではなく、歌うように笑って、僕は夜の片隅で息をする。

さてそれでは始めよう。
語るも愉快な奇怪の夜に始まった、僕の人生の分岐点。目玉狩りのお話を。