死ネタ、グロ流血注意
微下ネタありご注意ください







「最近通り魔が出るらしいですね」

蝉の鳴き声が聞こえる中、 2人の男性が歩いていた。一人は茶髪に仮面のような笑顔の男性で、 もう一人が目つきが悪く瞳を見ると感情というものがない
誰もを視界にいれていない何も見ていないそんな印象をもつ男性だった。

「なんだそりゃぁ?」

手に持っているアイスを口に運ばせながら黒髪の男性……アルベルトは答えた。
茶髪の男性はスマホを取り出し、 アルベルトに見せる。


「聞いていませんか? ここ最近新聞にお悔やみがいっぱいあるんですけど……」

「……しらね」
「はぁ、 坊ちゃんはもう少し世間を気にした方がいいですよ」

「仕方ねぇだろう? 仕事で新聞読んでる暇なんてねぇからな」
「昼は学校の先生、 夜はこうして見回り。 あぁ本当坊ちゃんは働き者です「一回殴られてぇかトウマ……」あっ待ってくださいそれはいやっ」

頭をさっと押さえ、困った顔をする。しかし顔は笑顔のままだった。いつもの調子のトウマに彼は小さくため息をつき、歩き出した。 くすりと声が聞こえる、 ふと足を止める。
前方から人影がみえる、 ゆっくりと足音を立てないように歩く姿は奇妙なもので。 アルベルトの眼にはいったのは澄んだ青色が目にはいる。 地毛ではまずいないだろう髪の色だ。
顔は幼く、だがしかし肉付きがある。 目はアルベルトと同じ灰色をしていた。 ゆらゆらと体が揺れており、 だがしかし油断というものがみえない。
雰囲気というのだろうか? 表情はよく見えない。 だが口元が笑っていた乾いた笑い声が聞こえ、 異常さが引き立つ。 アルベルトの五感が告げたこいつは異質だと。
彼がいるだけで場の空気が変わりだした。アルベルトの額に皺が浮かぶ。アイスを握っていない方の片方の手を懐へと移動させ、 冷たい拳銃に触れた。 弾はすでに装填してありいつでも撃てる。
目の前の人物を睨みながら隣にいるトウマへと呼びかける。

「おい、 こいつだれだ?」

「さぁ?知りません」
「知り合いじゃあないんだな?」
「えぇ、まったく」

見当もつきません。 とトウマが呟いた。 「ですが、 心当たりはあります」
「誰だよ」
そう尋ねるとトウマがスマホを指でなぞり、 新聞の記事を読み漁る。
記事の中身には通り魔の特徴が記入されておりそれを確認するかのようにトウマは彼とスマホを交互にみた。


「通り魔かも……なーんちゃって「アンタ、綺麗な眼ェ、欲しい、なァ」
へっ?ちょっいやあああああああああああああ!!!やめてエロ同人みたいになんかしでかす気でしょっ!!
野蛮! やばーんな人よ!!」

「お前は何やってんだ!!」

通り魔がトウマに接近する前にアルベルトが彼の胸倉を掴み投げ飛ばす。 あっと小さく彼から声が漏れた、 だが戦闘に慣れているのか軽々と地面へと着地し、ぺろりと舌をなめた。
おやー? と棒読みでびっくりしたかのようにトウマが呟く。アルベルトががりっとアイスをほおばり飲み込んだ。 どろりとチョコとバニラの甘さが口の中へとはいっていく。
開いた手で拳銃の安全装置をはずし、 異質だろう相手をアルベルトが睨みつける。 そんな威圧怖くないといいたげな少年、 真白はただトウマの瞳を見つめていた。
外見、 服装そんな者には目もくれず。 トウマの宝石の様な緑の瞳を仰視していた。

きらきらとエメラルドの様な輝く瞳をとろけるように見つめる真白をみてトウマの口元がぴくりと動いた。そしてにっこりと笑って目を閉じる。真白はちょっと残念そうにトウマをみた。

「オニイサン〜 それじゃぁアンタの綺麗な目ェ、みえないョ、目ェ、 あけてくんない?」

ニタニタと笑いながら真白がトウマに尋ねた。 トウマは笑顔のまま「いやですね」と答えた。
その回答が合図みたいに真白が駆け出し腰裏のシーツの中からナイフを取り出し、 光り輝くナイフが真白の顔を映し出す。

「じゃぁ、 イイョ、 オニイサンの目玉えぐったらいい話だもん……」

小さい子供がすねたように、 だけど目はらんらんと輝いている。 げぇっ変態ですか……とトウマが嫌そうに呟けば、 真白がにやっと笑い駆け出す。辺りは真っ暗で街頭の明かりがあるものの
薄暗さは変わらない。 そんな中見えているかのように突進してきた真白にトウマの目が見開く。

アァ、やっぱりィ……綺麗、 エメラルド、 まるで、 宝石のみたいだ。
真白はトウマの目をみながら思った。
これをえぐる瞬間、 感触。 ゾクゾクする。 えぐったら宝石箱のにいれちゃおうか? それともホルマリン漬けの方がいいかなぁ? ごくりと唾を飲み込み
トウマの目に手をかけた瞬間、 2つのエメラルドの瞳がにやりと笑った。

「      」

言葉は発せられなくとも口の形でわかった。真白の目がかすかにひらくと同時に腕を掴まれた感触がする。 無意識に体を捻らせ、 2つの眼で相手をみた。

「いい加減にしろっ」


灰色の瞳が真白を睨んでいた。 だがしかし彼の瞳に興味などわかない、 色がない目なんて興味がなかった。色鮮やかで綺麗な色のついた目がほしいのだ。
 アンタの目はいらない、アァ 邪魔だ…… オレは今エメラルドの目がほしいンだよっ……。 目を見開き、 そのままナイフをアルベルトへと向ける。 握っている方の腕に力を込め斜めへと振り上げる。
だがしかし、ナイフは真っ赤な花を咲かせることなく、 金属音が混じり合い 地面へと落ちた。 「……ヘェ」
真白が関心したように小さく呟いた。 この人間はどうやらそっちの側つまりは真白と同じ人種。 裏社会の人間、 思わず口元がにやけた。
左肩を掴まれ、地面へと抑え込まされる。 乱暴気味に冷たい地面へと叩きつけられ、 目をむけると大きな手が真白の首を掴んだ。

「おい、トウマ警察呼べ「えぇーだって僕たちマフィアじゃないですか警察頼るんですかー?」
いいから早くしろっ」

首を絞めつけられる感触を堪能しつつ、 次第に酸素が無くなっていく。 だがダメだやるならばもっと刺激を快楽をもっともっともっとモット!!
せがむように顔をみあげるとアルベルトは真白ではなくトウマをみていた。つまらないもっとこっちをみてよオニィサン、 殺意が足りない。  そんあんじゃぁ、 全然イケないョ?

「よそみしないで」懇願するかのように口からこぼれ出た言霊にぴくりとアルベルトの鼓膜が震えた。 真白からは殺意というものがなかった甘い吐息を吐き出すように囁く。
まるで娼婦。 であったことない異質な人間に戸惑うアルベルトを真白が見逃すはずなどない。砂を握りしめた手でアルベルトの顔にかける、 ふっと首を絞めていた手の力が緩んだ。 ここぞとばかりにお腹を殴ると彼がよろめいた。 「いったっ……」アルベルトは目にかけられた砂によって片目を手で隠す。真白は地面に落ちていたナイフを奪い、 彼の腕へとぶすりと刺した。 あっと小さくうめく声ににやりと笑う。

「あー!!! 目にはいったじゃねーかっ!!」

ナイフを握っている手を掴まれ思いっきり腹にけりをいれられる。 ふいにくる激痛に思わず身震いしナイフから手を離し一歩後ろへと下がった。ごほっと咳き込めば唾液が地面へとぽたりと落ちた。 ちっと舌打ちをするアルベルトを見て、 真白の目が輝く。 先ほどは見えなかった赤い瞳がみえたからだ。彼の腕からしたたり落ちる血のように真っ赤な眼球がこちらを睨みつけた。
赤もいいなァ……。 ずぶりと自分の腕に貫通しているナイフを抜き取る。 その仕草をみながらにこにこと笑う、 2つの瞳が殺気を向けてくるのがわかった。 殺意が全身をくすぐっていく感触にとろけるような、しびれる感覚がして思わずぶるりと身震いした。 自分自身が殺意に快感を覚え興奮しているのを体とは裏腹に冷めた脳みそがそう告げていた。舌で上唇をなめとり、 新たなナイフを握りしめ真白が地面を蹴り上げる。

「オニィサン、そんな……綺麗な目ェ、 隠してたの? ひどいなァ……」

欲しい欲しい欲しい、よこせと純粋な欲に身を任せ、 真白が地面を蹴る。 アルベルトが小さく舌打ちをしナイフは鋭い金属音がなる。 互いの耳の鼓膜を震わせ 体が紅潮するのわかった。 
アルベルトの持っているナイフには血がしたたり落ちており、 それをうれしそうになめる。

「あまイ、 ねぇ」

「きめぇ」

そう小さく呟くと、 アルベルトが真白に体当たりした。 体ではアルベルトの方が大きい、体格差もある。っつと真白が小さく声を漏らすと、 握っていたナイフを一瞬だけ離し、 こぶしをアルベルトのお腹へと突く。 そのまま地面へと突き刺さりそうになったナイフを寸でで受けとめ思いっきりナイフを上へと切り裂いた。アルベルトの体が意志と反対に体が傾く。 さすがに倒れることはなかったが、熱い、目が焼けるようにいたい痛みが全身を巡った。 呼吸が乱れ、 ぐちゅぐちゅと焼けるような痛みに身がやけそうになる。 右側に手を触ればべっとりと血の感触がした。 目は完全に見えない、 乱れた呼吸音がアルベルトの口からこぼれ落ちた。 苦痛に顔が歪み、汗が額からこぼれ落ちる。 ゆらりと立ち上がり、真白がアルベルトを見下げた。

「ぐ、ふっ…… あは、 はははははは!! 残念、だったねェ、……けど、 楽しませてもらった、 ヨ」

ぐら付く視界の中で真白の手が近づいてくるのがわかる。 つぶれた右目が赤い涙を流れた、 視界がぼやける眼では真っ白な手がゆっくりと近づいてくるのがわかる。
どくどくと心臓が浪打ち、 頬から汗が流れ落ちる。

「おい、 おまっ……」

言い終わる前に、冷たい指先がぐちゅりと目玉が触られる感触がした。 眼球は意外にもろい、 強く握ればすぐに破裂してしまう。眼球を傷つけないようにだが確実に指を瞼へと侵入させる。
気味の悪い感触に身震いする。 ぐもった声が聞こえるだがしかしシンと静まり返った場所では誰も助けになんてくるはずもなくただぐちゅぐちゅと耳障りな音が聞こえるだけだった。
目を閉じようとはするが真白の指によって閉じることができない。 ずぶずぶと指が入り込み、 一気に引き抜いた。
ぷっつんと音がしたかと思えば神経が引き千切れる音で。 アルベルトは声にならない叫び声をあげた。

「あああああああああああああはははは、 すげェ、 すごくきれい。 ヒャハ……赤い目ェ、 あんたの、 すごくきれいだ……ね」

目玉の生暖かい感触に身震いしつつ、眼球にこびり付いた血を舌でなめとった。 あまい、甘い、まるでお菓子のような甘さに目がとろけた。
アルベルトの体には大量の血が顔からしたたり落ちていた、 呼吸も荒く今にも息絶えそうなくらいに弱っている。2つの眼をうしなったアルベルトからは何も見えない、 真っ暗な闇しかみえなかっだ。。
真白にとったら人は目玉をえぐったら興味はない。 だがしかしここまで楽しませてくれたんだ。 にやりと笑い右手で眼球をそっともつ。 血で真っ赤なナイフを握りしめふらふらと体を起こす。激しい運動のせいか呼吸が荒い真白がアルベルトの体へと近づき、 心臓目掛けて突き刺した。 男の体が大きくのけぞり、 口から大量の血が噴き出される。 2つの瞳はどちらもえぐれておりぽかんと真っ黒な空間しかみえない。
ぐりぐりと胸の傷口を広げるように、そして骨がみえた。生暖かい肉の感触を楽しみながら奥へ奥へと腕を静めていく。 ぴくぴくと動く体はもはや彼の意志ではなくただの筋肉の運動でしかない。

「うぅーん? かたィ…… ははっ…… おもしろっ」

ふと視線をずらし、アルベルトの懐から拳銃をみつけ、 手を伸ばした。 黒くて重い、 真白が普段使わない型の拳銃だった。 まるでおもちゃを手に入れたような感覚で弾を入っているのを確認し、 心臓目掛けて引き金を引いた。 悲鳴のような銃声と、くずぐったい煙の臭いがする。 骨が貫通したのを確認するとぶちぶちと心臓がある所へと腕を沈ませた。 顔を男の体へと密着させる、すでに男は息絶えており、体が勝手に痙攣しているだけだった。 甘い吐息をふきかけるように息を吐き、 真白はただこの行為だけを純粋に楽しんだ。 心臓の波打つ音がしないけれど温かい……。 感触を堪能しながら心臓をつかんだ。
そして思いっきり引き抜いた。ぶちぶちと糸がとれるような音がし、 真っ赤な塊が真白の前に姿を現す。

「あは、 ぐっふふふ、 あは……あああああああはははっはははははあああああああああ!!!」


心臓には先ほど撃った痕跡があり、 穴がぷつりと開いてそこから大量の血液が噴き出している。 真っ赤な真っ赤な血は真白の白い肌へとふりそそぎ白を赤へと染め上げた。 背後からぱちぱちと拍手の音が鳴り響く。
くるりと後ろを振り返ればトウマがにっこりと笑って真白をみていた。 さきほどまでいなかったのになぜ現れたのか? 逃げ出したというわけでもなく、 恐怖で動けなかった風もない。 執事服に身を包んだ男を真白はじっとみつめていた。 エメラルドの瞳が真白の視界へと入る、そしてぺろりと下唇をなめとった。 アァ、 今日はいい日だな……。 色の違うのが両方手に入る。
ニタニタと笑う真白の考えを見通してかトウマがゆっくりと口を開いた。

「おや? 僕の眼もほしいとみえる」
「だってェ、 オニーサンの眼ェ、 すごくきれいだシィ?」
「強欲な方ですね、まったく」

口元に手をあてくすくすと笑う。 それがだんだんと声が高くなり、 まるで少年のような声へとかわっていった。
顔は次第に歪んでいき先ほどの仮面のような笑顔はなくなっている。 しかし目にしか興味のない真白にそんな些細な変化などわかるはずもなく。 手には先ほど使用したナイフを握って今かと狙いを定めている。

「アルベルトいつまで寝ているのさ、 早くおきなよ」

何を言っているのかわからず思わず真白が首をかしげた、 背後からぴくりと血で塗れたの手が動き、 大きく呼吸をすう。 ごほごほと咳で血が地面へと飛び散った。 閉じられていた瞳がかっと見開く。 
さきほどえぐったはずの赤目が真白を忌々しげに睨んでいる。 あれ? なんでドウシテ? 殺したはずころしオレがころした・・・・? 思考が止まり、 ぽかんととアルベルトをみていた。 背後にはトウマがくすくすと笑っている。

「よかったねぇー真白くん? 最高の獲物だよ」

トウマの言葉で真白がぶるりと震わせた。 最高? ならばこいつはオレを楽しませてくれるのか、 あぁ……楽しそうっだねっ。
ごくりと唾を飲みこみ、 高潮する。 切り刻んでも目玉えぐっても死なない相手、 いいなぁそれはつまり・・・・


「何回でも。 殺せるっ……てことジャン」

目をらんらんと輝かせ、 ナイフを握りしめる。 もはや体はすでに限界を超えており、 呼吸が乱れていた。 だが止められない、止める気もない。 上唇を舌でなめとり顔についた血液をぬぐった。
あはははあははあははあはと誰かの笑い声がするそれが誰なのかはわからない、 だがそこにたしかに狂人がいた。 その光景をトウマが忌々しげにみつめた

「狂人め」

腕をえぐり、 ナイフで切り刻む。 真っ赤な血が地面へ落ちた。 すでに血で顔なんてみえない真っ赤な瞳だけが真白をじっと見つめていた。 それでいい真白にとっては目意外に興味などないんだから。
きらきらと輝く赤目にうっとりと顔を緩め、 地面を蹴った。 ナイフが折れたら新しい刃を銃の弾が切れたたまた別の銃を。 楽しい楽しい楽しい楽しい! まるでダンスのよう否ダンスとは呼べない、 精々よくてチャンバラだ。 流儀も何もあったものじゃない目の前の相手を殺すだけ、 それだけの作業。 ナイフから鈍い衝撃が加わる、 体に触れた感触に思わず口角を歪め思い切り切り裂いた。
アルベルトの首から大量の血がしたたり落ちる、 だがまだだ。 顔に付着した血を舌でなめとりそのままナイフを突き刺し捻った。 さすがに骨は丈夫なようでなかなかに切れない。 ぐちゅりと気味の悪い音が響く。すでに悲鳴などはあげておらず3人の笑い声だけが聞こえてくる。

「ひゃはっ……すげぇ」

真白が唾を飲み込み賞賛をあげた。 思わず達してまいそうな感覚にくらくらと眩暈がする。 血の香りと汗の香りがまざり真白の鼻をくすぶっていった。 
死ぬかもしれない、 殺されるかもしれない そんな感覚などとうになくて。 このマヒした脳と体では目の前の快楽だけにむさぼることしかできない。 もっともっとと子供がせがむように目を輝かせた。
もっとみたいもっともっとあんたの眼を

「魅せてェ?……」

赤い瞳に手を伸ばした。 生暖かい感触に身を震わせぐちゅりとえぐる。 その瞬間アルベルトが口角を歪ませにやりと笑う。 それは獲物を見つけたような目つきで真白をみた。そして小さく呟いたのだ
「つかまえた」
真白の頭を掴み、 ナイフで右目を切り裂いた。 背筋が凍り、体が硬直した。 眼球をつぶされた方を手で隠し見える眼で男を見た。 にんまりと笑う赤い瞳からは楽しそうに笑う真白自身の姿がみえる。
痛覚などすでに許容範囲を超えていた、どろりと解けそうな脳みそ。 紅潮、 汗 ひゅっと息を吸い上げればいくらかはましになる。 どくどくと波打つ鼓動はこのまま張り裂けてしまうのではないかと思える位だった。 まだ終わらせられない。 否、終わらせたくない。 ふらふらとなりながらも見のは赤い目ただ1つ。 死ぬのは目にみえていた、 だけどすごくほしかった。 真白の力が抜けアルベルトの肩へと落ちた、もう動けない。けど欲しかった。 乱れる呼吸で震える手で彼の目顔へと触れる。 アァ、 もう時間キレ。 視線を胸へと向けると大量の血があふれ出ていた。 くらくらと視界がくらむ、 あがけばあがくほどに体から赤い花が舞い散った。 最後にとびっきりの笑い声をあげ、 目の前の怪物へと手を向けた。 この快感をまだ堪能したいのだ、 真白は最後の力を振り絞り握っていたナイフを振りかざす。
血の香りと汗の香りで眩暈がしそうだ。 2つの狂人がケタケタと笑い声をあげていた。


*****



「っちゃん、 坊ちゃん〜」

ひらひらと地面に倒れているアルベルトの顔めがけて手を振った。 頬をつねるとうっと小さくうめきアルベルトが小さく目をあける。 彼の服は血で真っ赤で今いる場所も血の匂いで充満していた。
ぼうっと放心状態のアルベルトを見下ろしながら困ったように微笑する。

「大丈夫ですか?」
「……。」

「僕の事わかりますか?」
「……トウマ?」
「はい、 ならばご自分の事は誰だかわかりますか?」
「……」


アルベルトが口をつぐむ、 それをみたトウマがやれやれとため息をついた。 まただこれで何回目だろう。 彼の自分に対する記憶がすぐ消えるのは、 記憶を巡らせ慣れた手つきで言葉を紡いだ。

「あなたはアルベルト・ヴィンチェンツォ。 年は22歳、 男性。 ヴィンチェンツォファミリーのボス、かつ現在は日本の学校のALTをやっております。
趣味はお菓子つくり、好きな食べ物はスイーツ。 ひとりっこ、 両親は共に他界。 現在坊ちゃんに話しています僕が幼少の時よりお世話をしておりますトウマという者です思い出しましたか?」

べらべらと言葉を紡いでみてもアルベルトの反応はいまいちだ。 体はすでに完治していた、 だが記憶的にまだ戻っていない。
……市ノ瀬の所にいくしかないかトウマがぼそっとつぶやいた。 アルベルトを起こし、 早くこの場所から出なければ。 血の匂いが充満してまた体に匂いが染み付いてしまう。
後始末は部下がやってくれるだろう、 とにかく今は坊ちゃんが一大事。 早足でアルベルトをせかす、 ちらりと後ろを振り返ればあたり一面真っ赤だった。 そこに死体なんてものはもうイナイ。


「だから言ったのにバカなやつ」



トウマが少年のような声でぼそっとつぶやいた。 懐中時計を開き時刻をみた
「あぁ、 朝食に間に合わなくなりますね。 困ったものだ」
そういってくすくすと笑った。
その言葉は普段の彼の口調でさきほどの口調の変化に誰も気づかなかっのだ。



真白が死んだという不確かな情報でまた世界が狂い出す。 通り魔事件をみつめていた雲龍の隣で市ノ瀬がくすくすと笑った。
「どうするの?」
雲龍はただただ市ノ瀬の眼を睨んでいるだけだった。
まだ事件は終わってない。
そう告げるかのようにピシリと亀裂がはいった。