「ルカ様、明けましておめでとうございます。おら、お前が言わなきゃ誰が言う」
「うっせぇ!! 何で俺が“シンネンノアイサツ”とやらをしなきゃなんねーんだよ!!」
「新年は赤い下着を履く習慣は日本に存在を継続されていないのですか?」
「ぶー!! なっ、てめっ! 下着とか口にすんじゃねぇよ恥じらいを持てよオイ!!」
「…………疑問、陸の頭部は紅潮と完了しているのか。回答を要求します」
「照れてるのよね、陸は。あと、紳士が乱暴な口きいちゃダメよ」
「え゛。コレが紳士……!?」
「コレってなんだオイテメー!」
「り・く」
「……〜〜っ!! なんだ、……すよチクショウ!!」
「……新年そうそう泣きそうになるなよ」
「お前に分かるか。ムカつくヤツの言いなりになってる俺の気持ちがわかんのかっ……ですか!?」
「あらー。陸ったら、私のことそんな風に思ってたの」
「千歳お嬢様を卑下を完了し追加、罪を転換完了とは言語道断」
「…………は、ハハハハハハ……アハハハハ!! 新年の目標はテメーらぶっ殺すだコラァ!!」
「上等。その方が私達らしいわ」
「え、ちょ、うぎゃあああああああああ!!」
会話文のみ失礼しました。次からノーマルでいきます。
▽△
新年早々疲れた。
花鳥さんに大梨さん、茶藤は相変わらず、正月という日に殺し合い。あのさぁ、めでたい日なんだから一日か三日くらい大人しくしようよ……なんて、巻き添えくらいたくないから言えないけど。
「おー! 沙弥じゃねーか!」
「え……あ、えと……」
「刹那だよ。遠野刹那!」
「あ、田村さん。明けましておめでとう」
「あ、おめでとうございます」
いつぞやの茶藤を痴漢してた男を退治したり、ケーキ屋を破損した二人組ではありませんか。あの日の思い出したくない思い出がフラッシュバックしたと同時にまともそうな皇さんに何だか申し訳ないような気分になってしまう。しかし二人とも新年だからか和服なんですね。お似合いですよ。私はそんなの気にしないんでジャージですけど。
「……あれ、何で二人が今郷町(ココ)に?」
「あ……、ただ単にこの町の神社はご利益があるって聞いて……」
「止めといた方がいいッスよ。あの神社は」
『?』
遠野さんも皇さんも少し首を傾げてたけど……一時間前に、あそこの神社でお祈りをしてる人間で遊ぶとかアホなこと言い出して消えた狼女の爽やかな笑みだけはこの傍目は純粋そうな二人には言いたくなかった。あの魔女がマジで願い叶えるからね……願いを覗き見されて。
「たーむら。目、死んでんぞ?」
ヒョイと遠野さんに顔を覗き込まれてしまった。どっかの吸血鬼や忍者の人形みたいな美貌ではないけれど、遠野さんも人を顔だけでも惚れさせるには十分に整っていた。そんな顔がいきなりドアップで現れたんだよ? 心臓が跳ね上がる。
「あ、あはは……ありがと、遠野さん」
「そんなかたっ苦しい呼び方すんなって! 刹那でいいぜ!」
「俺も、琥珀でいいよ」
この人達は、何と言うかフレンドリーな人達なんだな。
そのフレンドリーさが妙なモヤモヤを生み出し、ただ動作として私は「わかった」と呟いた。
そうしたら、刹那が私の両頬を引っ張り出す。何でこんな行動に移したのか、全く検討もつかない。そんな行動を起こした当の刹那はニカッと笑みを浮かべていた。
「嫌なら嫌って言えよ? 後悔しちまうからな」
「……?」
「おりゃ」
「ひゃあっ! あっ、ハハハハハハハハ!! やっ、あ! ちょ刹那しゃ、ヒャハハハハハ!!」
いきなり脇に手をスライドさせられてはこちょこちょされて、抵抗したくても全く力が入らなくて、刹那のペースにのまれていった。
一段落した(というより琥珀が止めてくれたんだけど)後にぐてーと力が抜けた私を見て爆笑する刹那に苦笑して私に謝る琥珀。
ああ、羨ましい。
隣の芝生は青く美しく
それは私の客観的な妬みで、それが本当に美しいのか、また美しくてもそう成長する段階は汚らわしかったかなんて私には分からない。
だけど確かなのは、今現在、私は彼らに嫉妬をしていた事実だ。