「一回。それだけでしたら二度と関わらないでください。あと僕も貴方もここで全裸になってください。お互い撮られたくなんてないし」
「随分警戒心高いね。職業柄?」
「……もう売春はしてないですから」
「子どもが生まれないからだっけ? 君のお母さんの遺伝子を量産したかったんだろうけどね」
なんでも、お見通しということだろう。
肩を落としたくなった。趣味のために女を抱くことはあったけれど、まさか男に犯されることになるとは。
きっとこの感じだと、僕がいれられるんだろうな……やだなー。始めてなのに。はじめては、乱暴でもいいから鈴太君がよかったなー。……きもいって言われそう。
「……僕はアナル洗浄してきますから、待っててください」
「え? 汚いの?」
「……始めてなんでよくわからないですねぇ」
「へぇ。僕が君のバージン奪うんだ」
「童貞ではないですけど」
「ここは始めてなんでしょ?」
「っ」
そっと、長い人差し指が僕のおしりをなで上げる。身震いしそうになったが、その手から逃げるようにホテルのお風呂へ行こうとしたら、その前に冷泉恭真が僕を担いでベットへと誘う。
「ちょ! 冷泉さん!」
「恭真でいいって」
「それより! だから洗浄!」
「いいよ別に。どうせ汚くなることなんてないから」
「アンタ何言ってんだよ自分のブツにつめてっ!?」
乱暴なのが好きじゃないのに、なんでさっきから赤髪がちらつくんだろう。
なんで、冷泉さんの目が、鈴太君に重なるんだろう。
無理やりアナルにローションをぶっこめられて、指で緩和していく冷泉さん。情けなくも、始めてだとやっぱり怖いもので、唇を噛んで、シーツを掴み、顔を背けようとすると、冷泉さんの手が、僕の頬を包み込む。
「僕を見るんだ」
「っ」
「うん。綺麗だ。怯えてるなんて可愛いね」
「怯えてなんかないですよ! ほら、さっさといれたらどうですか?」
「ふふ……余裕がなくなってる」
ちくしょう! なんで、なんでこんなことに。
冷泉さんの指が簡単に抜き差しできるくらいになると、長い指が、僕の変なところに当たった。
「やぁ! え? は?」
「ここ、だね」
「な、なに、いまのふぁっ!?」
「ふふ……」
急に現れた快感に、冷泉さんは追い込むように僕の乳首に舌を這わせ、反対の手でブツをしごき始める。
女みたいな声を上げたくなくて、唇を噛み、目をぎゅっと瞑ろうとすると、冷泉さんは乳首を思いっきり噛みやがった。
体が飛び跳ねるみたいに反応して、悲鳴をあげた僕のブツから、欲が放出される。
「逝ったかな」
「……ち、く、しょぉお……!!」
「やっと出てきた。君ってそんな性格なの?」
「うるせぇ! 僕で遊びやがって……! てめぇ何が目的なんだよ!」
「君と同じだよ。僕は、君を壊したいんだ」
「っ!?」
するり、とアナルは冷泉恭真のものを受け入れていた。その事実は、僕の身体の淫乱さを物語っているようだ。そう開発されたことも知っていたけれど、でも、やっぱり僕は……僕だって。
「鈴っ…うあっ!」
「だーかーら、恭真……だろ?」
「や、だぁ!」
「可愛いね、深織」
「呼ぶなぁ! 鈴くっぅっ、うぅっ」
「深織の中、すごい……流石」
「っ、っ! っ……!!」
「これなら、すぐでそうだね」
「っ!? だ、し、ぁ、あー…!!」
「ごめん。でちゃった」
早漏……かよ。
いや、正直、僕の身体は女や男を喜ばせるためにできているようだと言われ続けていたのだから、多分……かなり具合がいいんだろう。アナルの中に、完全に冷泉恭真に中出しされた感覚が広がる。
「でもね、深織。まだまだだよ」
その感覚は、ずっと続いた。
何もしないでも、溢れるくらいに、泡が立つほどに。
僕はこの日、徹底的に冷泉恭真に犯されたんだ。