狂気人形猟奇死ネタ 






「ねぇ泣いてよ、都、いつもみたいに、痛いって泣いてよ」


ねぇ、ねぇ、都、君は何時だって笑ってたね。柔らかで少しだけ儚くて、脆いその笑顔が、僕は本当に大好きだったんだ。嗚呼でも、君は、怯えるばかりで、結局僕には一度も笑ってくれなかったね。だから代わりに、涙を貰った。笑顔をくれないのなら、代わりに、他の全てをちょうだいよ。泣いて怯えて、そのくせ俺から逃げられずに、小さな抵抗をするのが精一杯のその姿は、哀れで、無様で、痛々しくて、とても気分がよかったよ。

溢れた血は何処までも甘かった。あの血の味はあまりに鮮烈で、今もこの舌先にこびりついている。口に含んで、舌で転がして、嗚呼。もっと、もっと。頂戴よ、都、君は僕のもの。俺に縋るしかないんだよって教え込んで、この部屋に閉じ込めて、僕だけが触れられるようにした。外に出たって、だぁれも助けてなんかくれないよ。君の父親は、冷泉の名前を出せば喜んで俺に君をくれたし、運よく逃げ出して帰れても、出迎えてくれるわけがない。他の家もそうだ、誰も彼も、こぞって俺に気に入られたがって、君を捕まえてくれるだろうよ。可愛い子供を二人も産んで、それでもまだ逃げ出すの?強情だねぇ、本当に。もう全部僕のなのに。



「そうだよねぇ、都」



ほらうんと言ってよ、僕の名前を呼んでよ。大好きと言ってよ。一度でいいから笑ってよ。笑わないなら、泣いて、鳴いて。ねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえ。如何して何も喋らないの。ねえ、愛しい都、こんなに愛してるのに。あの日のように、せめて、僕なんか嫌いと泣き叫んで。


ざくざく。ざくざく。
歪に笑った人形。精巧な人形。全てを鋭利なナイフで傷つける。
ざくざく。ざくざく。
綺麗な人形。可愛い人形。君とそっくりな、人形。


ヒトリぼっちの人形遊び。
壊れたまんまの人形遊び。

彼女がとっくに死んだことも忘れて。
耐え切れずに自殺したことも忘れて。

彼女を模して、大量に造らせた人形なんて、見ないフリ。