「いやいや」 「なんでィ」 「いやいやいやい、」 「黙らねェとその口塞ぐぜィ」 「え、ちょ、その前にこの手をどけようよ」 とりあえず壁にわたしを押さえ付けるのをやめようか、てゆかやめてくれ、顔近いよ沖田くん、近いってば。 廊下を歩いていたわたしをいきなり壁に追いやったかと思えば逃げ道を塞がれてしまった。しかも今は放課後、ほとんど校内に生徒は残っていないというアンビリーバボーな事態。 「何用ですかな」 「べつに、ただ面白そうな玩具を見付けたもんだから壁に押さえ付けてどうやっていたぶろうか考えてるだけでィ」 「うっわ、……さすがサディスティック皇子 性格悪っ」 ――ドン! 刹那、風が頬をきった。 ぎゃああああああ!し、心臓が飛び出るかと思ったよ!サディ(以下略)って言った瞬間沖田がわたしの顔の真横の壁をおもいっきり殴りつけたのだ。ほんと、ちょっと、死ぬかと思った。 「な、なにをするんだね!!」 「いや、虫が」 「なわけないでしょーが!」 すると突然身体に違和感を感じた。 ぞわり、とした。一気に鳥肌がたって悪寒が走る。沖田の手が、わたしの太ももの内側を、ゆっくりゆっくり往復させてじれったく撫でる。スカートが、捲り上げられていく。ぞくり、なんだこの感覚は、ぞくり、というかこいつ、 「どこ触ってんだよ沖田あああ!」 「なんでィ、減るもんでもねェ」 「減るよ!なんか色々モチベーションとか減るよ!」 へえー、とか言いつつ手を止めない沖田はほんとにサディ(略)だと思う。それどころか今度は顔を近付け耳にぬるりと舌を入れてきた。沖田の吐息が直に耳を刺激してぞくぞくする。…あれ、なんか手に力が入ってくんないんですけど、 時折声出してもいいんですぜとか耳弱いですねィとか囁いてくるのもだんだんと耳に入らなくなっていく。 「体熱いですぜ」 沖田がにやりとした。 ああもうこいつスイッチ入りやがったよ。わたしだけじゃ切り抜けないってことですかね、いやほんと助けてください、とりあえず土方くん! 気休めにでも沖田の肩を押してみたが結果は一目瞭然。女のわたしが男に、ましてや鍛えている育ち盛りの男子高校生に勝てるはずもなく逆に手をがっしり掴まれてしまった。あはは、逆効果。 まあ、抵抗しないわたしもわたしですけどね! 「お前が求めるまで何もしやせんぜ」 100104 まじかよ |