受け継いだもの
「だからそれが宍戸らしくないっていってるの!」




「宍戸ならわかるでしょ・・?」




 この言葉で何かお前から受け継いだきがする・・・




 あの時伝えられれば良かったんだ・・・





 
 その日は関東大会不動峰戦








 
 決して勝てない試合じゃなかった・・・











 何が抜けたのか?










 何が悪いのか?










 ただ、自分の気が抜けたのが悪いのかもしれない・・・










 不動峰の大将である橘に負けた。










 敗者切り捨てが掟である氷帝では負けたこの俺が正レギュラーから外されるのも当然だ・・・










 全ては自分が油断していたのが悪い・・・ただ・・・










 あれだけ必死になって勝ち取った「正レギュラー」という名の栄光が一つの気が抜けただけで消えて無くなる。










 一度落とされれば・・・二度と戻れない・・・それが・・・氷帝学園テニス部敗者切り捨てという掟。






 



 「おい、宍戸。・・・遠也のとこに行かないのか?」







 イラツいてる俺に急に話しかける跡部。






 別に跡部に当たりたかったわけじゃない・・





 「うっせぇっ!!!!俺は先に帰る」







 そのままテニスコートを後にした。







 「宍戸・・・。」












  彼女である遠也が体を壊して入院している病院近くの公園に来た。









 「遠也・・・。」







 ベンチに座り今日の試合を振り返る・・・








 ズキンッ









 いつものように駄目だった事を考えようとすると酷い頭痛に襲われる・・。







 
 「ッ・・・。」








 何か分かるかもしれないと思い遠也が居る病室へ向かう。










 遠也が好きであるカップに入った杏仁豆腐と自分用にとチーズサンドを買い病室へ入った。









 するとそこにはキラキラ輝く太陽のような笑顔の遠也が居た。








 
 「あっ!宍戸!今日はお疲れ様。」









 「お、おう…。」








 遠也の笑顔にドキッっとして少し焦る俺、激ダサだな;;







 少し様子が違う俺に一番に気づくのはいつも遠也だった・・・








  そんな遠也には今日の俺のこともすぐにばれた。










 「宍戸…。負けたって次があるよ。次、頑張ろ!」









 いつもなら「おう、そうだな。」って答えてるところだが、やはりまだイラついているのか・・・





 遠也にまで当たってしまった・・・










 「ッ……。遠也に何が分かるんだよ!!!」










 「…。」








 「遠也も知ってるだろ!!!敗者切り捨ての掟をよぉっ!!!!!」






 
 遠也なら分かってくれるかもしれない・・・

















  「知ってるよ。一度負けたら二度と監督は使わない。」










  「!…だったら、だったら、分かるだろ!!二度と正レギュラーには戻れないんだ!!」






  



 「それは違うよ。…二度と戻れないなんて絶対ない。」








 

  「嘘だ!それじゃ矛盾してるじゃねぇかよ!!戻れねぇっていう掟があって何で戻れる…」







   


  「宍戸らしくないよ・・!!」








  いつもはまったく見せない涙。






   遠也の綺麗な青い瞳にかすかな涙が浮かんでいた








  「何処が俺らしくないってんだよ!!!!」










   「宍戸はそんなにマイナス思考じゃない!!なんでそんなに悪い方向に考えるの?」










 「・・・・・・・・・。」






 その通りかもしれない。




 「もし…。もどれるって言うなら…掟はどうなんだよ…。」







 「宍戸ならわかるでしょ・・・?」














  

 

  それから数ヶ月が過ぎた








 
  その数ヶ月間…時々遠也に顔は見せるモノの







 
  遠也は・・・





  「宍戸ならわかるでしょ・・?」







 それしか答えてくれない。










  でもその数ヶ月間新しく出来たパートナーである長太郎と日々特訓をしていたお陰で









 正レギュラーである…滝を倒して正レギュラーという栄光を手に入れた。








 その日に遠也に伝えようと部活を早く終わらせて病院に向かった










  「遠也っ!!俺、正レギュ……。」









  病室を開けるとそこには泣き崩れている遠也の母親と涙をっぐとこらえようとしているが目は涙でいっぱいの父親。






 
  そして、俺の姿を確認して近づいてくる遠也の兄である翔。






 
  
  「…。今お前を呼びに行こうとしてたんだ…ぜ。」










  「ちょ、まてよ…!!翔!遠也は…遠也は!!」










  「遠也は…俺も、信じたくはねぇが…死んだ。…」









 
  遠也が死んだ・・・??










 ふざけんな!!!










 なんで神様はあきらめようとした俺じゃなくて









 こんな俺を助けてくれた遠也を・・・










  目の周りがとてつもなく熱い








 「最後…。何か遠也に言ってやれよ…。」











 今までに見たことのない飲み込まれそうな綺麗な顔で・・・










 ((しっしどーwwwテニスしよーww今日も負けないんだから!))






 ((あぁあああっ!!!宍戸が僕の杏仁食べたっっ・・!!))







 ((僕ね、宍戸の事好きだよwww宍戸は…?))







 今までの遠也との思い出が一気に去来する・・・










 「遠也・・・!!!何で俺をおいてくんだよ!!!行くなら俺も・・・!!」










 「自分一人じゃないって…教えてくれたのはお前だろ・・・!!!」










  「1人でどっか行くんじゃねぇよっっ…!!!俺…」










  「俺、……まだ、お前としたいこと沢山あるのによ・・・!!!!」










  「……俺は…俺は、遠也のこと…ずっと愛してるからな…!!!!!」










  そうに頭が真っ白な状態でどうにか出たことばが終えた瞬間・・・











  遠也の目から一筋の涙が流れた・・・・




















 そしてまた3ヶ月がたったいま。







 俺は正レギュラーとしてパートナーである長太郎とダブルスを組んでいる。





 「宍戸さんっ!!相手お願いします!!」










 「おうっ!容赦しねぇぜ!」











 遠也…。






 お前が言ってた氷帝の掟…。








 分かったんだ…。戻れるための理由が・・・。










 監督は負けてすぐにあきらめるようなやつは使わない。









 今まで正レギュラーから落ちたヤツが全員そうだったから・・・・










 努力をすれば必ず報われてそれを監督が分かってくれたとき・・・










 それが正レギュラーへ戻れる時。










  「ありがとうな…遠也。」













  遠也が伝えたかったのは・・・・









 
 努力をするということ。










 遠也から受け継いだのは全てにおいて努力をするということ…。










 いまはいない愛しい君からのプレゼント。

07/07/14


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