わかりにくい君のタイプ
セントラルのバザーでエドとアルは買い物をしていた。

バザーは鮮やかな色の果物から服、ウィンリィの好きな機械鎧、何でも揃っていた


「兄さ〜ん!これも必要じゃない?」


アルはこれからの旅に必要であろうモノの店の前に止まった。

「……。」


エドはそれに気付かずに歩き続ける。


「兄さんっ!」


アルがさっきより大きな声を出した。


「え、あ…おうっ!」


アルの声に気づき引き返した。

「兄さんどうしたの?」


「何でもねぇって!買い物の続き続き!」


何かあるであろうエドを後ろ姿を見ながらため息をつくアルだった。


そこで買い物を済ませて店から出てきた二人。


「必要なものはこれくらいだな。」


「うん。そうだね!……あ、兄さん!あそこっ」

「ん、なんだ…っあ!?」


アルが指差した先にはフィアスの姿があった。


「行こう!兄さん!」


そう言うとアルはエドの手を取りフィアスの元へ駆け出した。

「フィアスさんっ!」


アルは明るく声をかけた。


「あ、エドワード君にアルフォンス君。」


にっこりと笑い振り返った。


「あー買い物ですか?」


野菜を選んでいたフィアスを見てエドが問い掛けた。


「そうですよ。」

フィアスが持っているバスケットから頭をちらつかせている【牛乳】が痛々しいがエドはあえて、それを視線に入れていた。

これ下さいますか?と店員にじゃがいもとにんじん、たまねぎを紙袋につめてもらっていた。
(「もしかして、シチュー?!」)

エドは勝手に料理を想像していた。オレのために!と顔がにやけているエド。
それを消し去ったのは八百屋の店員だった。


「あれ、フィアスさん…また、あのマスタング大佐に頼まれたんですか??」


八百屋の店員はあごひげを指で触り片目をつむりフィアスを見た。


「くすっ、そうなんですよ。」

「た、大佐ぁっ!?」

エドはあわわと慌てていた。


三人は不思議そうにエドを見た。


八百屋から離れてフィアスは軍に戻らず別の道へ向かった。


「あれ、フィアスさん戻らないんですか?」


アルが不思議そうに問い掛けた。


「さっきも、叔父様と話してたけど、ロイ大佐に頼まれてるの。」


「なんで、大佐何かに?」

エドが少し強めに聞いた。


「また、君の作った料理が食べたい、って言われたの。だからなの。」


暫くむすっとしているエド。それを見ているアル。


「そうなんですか…大佐っぽいですね。」


「ふふっ…そうですね。あ、このまま、ロイ大佐の家に向かうんだけど…二人も来る?」



最初エドは嫌々していたが、渋々ついて来た。


「ただいまです。」

そういうと、エドとアルにそこに座ってて下さいねとキッチンに消えて行った。


「兄さん…僕、中尉に呼ばれてるんだ…フィアスさんにつたえといて?」


「え、ちょ…!」


アルはバタンと家を出て行った。 フィアスが音に気付いたのか、ひょこっと顔を出した。


「あれ、アルフォンス君は?」

「中尉に呼ばれてるって…行っちゃったみたいだ。」


ははと笑い頭をかいた。


「そっか…。」


また、料理を続けた。


「…フィアスさん…。」




エドが俯きながら話し掛ける


「はい。」


「フィアスさんはさ、大佐みたいなのが好きなんですか?」


「へ?!」


「フィアスさんは、大佐みたいな人がタイプなのか?」



「ふふ…ロイ大佐も好きだけど、エドワード君みたいに優しい人も好きですよ?」

にっこりと笑うフィアス。

かぁっと赤くなるエド。

すっと立ち上がりエドは近くに立っているフィアスをぎゅっとした。

「エドワード君?!」


「俺、大佐には負けないから!」



フィアスさんのタイプはやっぱりわかりにくい。


ロイとエドのフィアス争奪戦の勝敗はいかに…


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