安らぎの場所

「私は終わりました。」


フィアスは机の上にトントンと紙の束を揃えた。


「俺達も終わります。フィアス中将は先に休んで下さい。」


リューイは眼鏡をくいっとあげながらフィアスに言った。


「え、でも…。」


リューイ達に近づき皆の進み具合を見る。


「約束したんじゃないんですか、フィアス中将。」


ウィルダがにやっとしてフィアスの肩をぽんと叩いた。


「えっ、ちょっ…ウィルダさんっ…!?」


かぁっと赤くなるフィアス。


「あぁ、もう…フィアス様、可愛いです。」

ダルクがポケーっとする。



「行ってください。フィアス様。」



「良いのですか?」


体をゆらゆらさせる。


「良いんですよ、ほらほら行って下さい。」


ウィルダが扉を開けフィアスを押し出す。

ばたん


「フィアスー……なっ?!」


ばふっ


「きゃっ」



フィアスを迎えに来たロイと調度鉢合わせのようになり、フィアスはロイの腕の中にすっぽり。


「ほら、マスタング!しっかりフィアス中将守るんだぞ!」



ウィルダがウインクをして扉を閉じた。




「あ、わわ…すいません、ロイさん。」

上目使いでロイを見上げる。


「びっくりしたよ、何時もになくフィアスが積極的だったから。」


フィアスの頭を優しく撫でる。

「あ、それは…ウィルダさんが…。」


「ふふっ。さて、行こうか。」

「はいっ。」


ロイはフィアスの手を取った。


二人は手を繋いで廊下を進んで行った。




二人は司令部の外に出た。



「雪、ですね。」


フィアスが鼻を赤くして空を見上げた。


「うん、年越しは雪だね。」


ロイも空を見上げた。



「そうだフィアス。ついてきてくれるかな。」



フィアスの方を向き肩を寄せる。


「はい、もちろんです。」


フィアスにこりと笑いロイについていく。

「ありがとう。」






二人は少し高い丘のような所に来た。



「わぁぁ。綺麗。ロイさん!ロイさん!」


フィアスはそこから見える景色に感動し声をあげた。


「フィアスに見せたかったからね。気に入ってもらえたかな?」


「はい!もちろんです!綺麗っ!」



フィアスは地面に積もってる雪を掴み丸め空高く投げた。

フィアスの錬金術で雪玉を壊すとキラキラと広がった。小さな豆電球があるかのように。


街の中に居る人や軍部の人達が空を見上げた。


「流石だねフィアス。綺麗だよ。」

にこりと笑うフィアス


ぎゅっ

再びフィアスはロイの腕にすっぽりと収まった。
ロイの温もりが心地良い

「ロイさん…?」

不思議そうにロイを見つめる。

「君が寒そうだったからね」


「ロイさん…あったかい。」


ぎゅっとするフィアス



時は1月1日





「フィアス、愛してる。」



「僕も、愛してます。」




にっこりと微笑み合う。




二人で笑っていられる


それが


安らぎの場所



《これからも愛してるよ》


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bkm
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