声を、消さないで
カンカンカンカンッ・・・


階段を勢いよく駆け下りていくフェザス。





「…。何だか凄く嫌な予感がする…。」




暗闇の下から何か嫌な気配を感じつつ階段を下りていく。








「この、嫌な予感・・・外れててくれないと困る。」





フェザスは呪文を唱えるかのように外れてくれとつぶやき続けた。





階段を下りていくと何かを感じる穴を見つけた。


何か声が聞こえるが誰の声だかわからない。



「…。男…か?」



少しずつ穴へ近づいて行った。




その、穴の下ではブラッドレイ、ロイ、ホークアイ、諸々がいた。





「強制的に扉を開けさせてもらうよ…マスタング大佐?」




ブラッドレイはロイの両手を自分の剣で突き刺し、ロイの動きを止めていた。




「私は、人体錬成など……。」



「君に、その気がなくても構わない。」





「固定しました。離れて下さい、ラース。」


プライドが影でロイを固定する。
そこから、離れたブラッドレイ…。



「君はどこをもっていかれるかな。」




リンとの戦いでの傷が癒えていなく吐血するブラッドレイ。



「大佐っ!!」


ホークアイが叫ぶ。


「巻き込まれてしまいまス!」

メイチャンが後ろに下がるように促す。



ロイとプライドは光のなかへ消えた。



ズズゥンと司令部内に響いた。






 ズズゥン・・・・





「?!…なんだ、下から!?」



すぐ、穴に近づくフェザス。



除くと何やら赤いものが見えた。




「血…?まぁ、降りてみなくちゃ、始まらないな。」



フェザスは穴へ飛び降りた。

スタリと着地する。



「全員でかかってくるか?それとも…」



下にいた全員の目線がフェザスへ向く。



「フェザス大将。遅いじゃないか。」



ブラッドレイはふと笑みを浮かべすぐに顔をしかめた。



「大、総統…。」



今までにないボロボロの彼を見て少し驚くフェザス。



「フェザス大将。」

ホークアイもフェザスを前にして声をかける。



「おや、発火布とは…マスタング大佐への差し入れかね?」




フェザスの手にギュッと握られている、発火布。



「マスタング大佐なら、この下の階にいるよ。」




「…。ご丁寧に。感謝します、大総統。」



「…中尉?!その首の傷は…!?」


ブラッドレイから目をずらしホークアイに移した。
目についた血と傷に驚く。
彼女に駆け寄る。


「大丈夫です。気にせず、大佐のところへ…」


「何が大丈夫だ。確かに応急処置されてるけど、すぐに治療しなきゃだ。」



じっとしていろよ?と言うと、首に手を近づけた。




「え…。」



その場にいた、全員が唖然とした。

かのお父様がエドの骨折を治した時の用に、ホークアイのキズを治した。


「よし、これで・・・こうしてっと。」


自らのコートから包帯を錬成しホークアイの処置をした。

「すみません。ありがとうございます。」


「いや、じゃあな。(ここに、………ら……れ。)」


闇の中へと姿を消した。




「何故、フェザス大将を簡単に行かせたのかと不思議に思っているのかね?」



フェザスが走って行った方へ目をやり再び、目線を戻す。




「彼は必要不可欠の6人目の人柱だからだよ」









まっ白い空間。






「……。」




「ニィッ」




「……!!??」




ズズズズッ・・・・・・・・












バリッ、バキバキッ・・・



バキバキッ




エド、アル、イズミ、ホーエンハイム

そして、お父様がいる部屋の天井に変化が起きた。


そこから…



ドシャッー…
ロイが勢いよく落ちてきた。



ズルッ



「5人目です、父上。」


プライドがそう言いながら降りてきた。


「うむ。5人揃ったと言いたいところだが、アルフォンス・エルリックがまだ…」



「大丈夫かよ、大佐っ!」



「うっ…鋼のか、どこだここは」

落ちてきた衝撃に頭を押さえているロイ。



「親玉の所だよ、大佐は何があった?!」


「まっ白い空間の大きな扉の前に放り出されて…」


「扉っ?!」


「どこもってかれた?足あるか?手は?」

ガバーっとロイの足をひっぱるエド



「何をする!!そこにいるのか鋼の!!」


「は?」
意味の分からないことを言うロイ。
こんな距離にいてその発言に驚いた。


「何言って……」


「真っ暗で何も見えん、ここはどこだ?明かりは?」




「……何も、……見え……ん」


その場からフラ〜っとしながら立ち、歩き出すロイ。

太い管に躓くロイ。












下への階段を下りていくフェザス。



「…あの錬成陣。…人体錬成…じゃあるまいな…。」



階段を降り終わると一直線の道を進む。




扉があった。



ごくりと息をのみ扉に手をかけた。




ギィッ……



扉をそっと開けた。



中にはエド、アル、イズミ、そしてロイがいた。



「目が、見えないのですか?」




ギィィ…




「…?」



プライドが開いた扉の方を見る



「……」



ぱふっ…とさっきまで握りしめたいた発火布を力なく落とした。



「大将!?…発火…布?」

エドがフェザスの方を向く。


「まさかね、君が来てくれるとは…。フェザス・フェリー。」


目を丸くして動かないフェザス。


「フェザス…?いる、のか?」


ロイも声に気付く。



「真理は残酷だ。……」



真理について語るお父様。



「人間が思いあがらぬよう、正しい絶望を与える。」



ギリギリと歯を鳴らすフェザス



「それこそが、お前たち、人間が神と呼ぶ存在…」



「黙れ、貴様っ!!!」



カッと怒りが言葉となって出ていく



「貴様らの、貴様らの考えが全く分からない。何故、多くの犠牲を出してなお



平気な顔をしてられる?仲間がやられて、悲しまない?」




そういうと、ロイに近づいていくフェザス。





長い沈黙。







響くのは足音だけ。




コツン



コツン






(…何故、静かになった?)






(やめてくれ、声を…消さないでくれ…。)





(声を……消さな・・・・)




「フェザスッ…?!?!」





「ロイ…。」





ぎゅぅっとフェザスはロイを強く抱きしめる。




「嘘だと言ってくれ…!!見えないなんて、嘘だと…っぐっ…。」





ただ声がする方を向くことだけしかできないロイ。



フェザスがどんな表情なのか分からない。




「フェザス…?」



「目を閉じてくれ、ロイ。」



言われるまま目を閉じるロイ。
目を閉じても変わらぬ闇。

また、少しの沈黙。
ロイにとって沈黙は恐怖だった。

がくがくと震えるロイの手をそっと握るフェザス。



「なっ、あなた何をするつもりですか!?」


プライドが叫ぶ。


ビュッピッッ



ロイの頬に冷たい何かがついた。



「人が…、誰に…何をやろうと関係ないだろう。」




(何をやろう、と?)




「フェザス…!?」



「目を開けて良いぞ。」





「っつ…眩しっ…って見え…る」




暗闇が嘘のようにエドやイズミ、プライドも見える。

そして、両目から血を流して笑顔のフェザスも…。



「どうだ?さっきのは、嘘だよな?」



目を瞑ったまま立ち上がるフェザス。



「フェザス…お前…。」





「等価交換。」







ふと笑いフェザスはロイをぎゅっと抱きしめた。




何も言わなくていい。




笑っているが血の涙で泣いているように見えるフェザスに



ロイは感謝や色んな気持をこめて、



唇へキスを落とした。




「ありがとう。」





END

あとがき。

少し長編でも使いたいなーなんて。

甘<<<<<シリアスな気もしますが・・・。
文書く能力が欲しい。

ロイが本当に可哀そうでしかたない。
ネタバレでごめんなさい。

ここまで、よんで下さりありがとうございました!


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