・風邪の静雄を看病してうっかり告白する臨也




シズちゃんが、風邪をひいたらしい。
からかってやろうか、と思いながらも一週間も寝込んで居るとなると流石に生きてるのか死んでるのか危うい。
風邪を拗らせてとか間抜けな死に方は似合うけどやめてほしい。シズちゃんは俺が殺すんだから。


だから心優しい俺は見舞いに来た上に看病をしてあげている。



「そういえばさ、高校の時にも風邪はひいてたよね」

「…そうだったか?」

「ま、風邪は筋肉関係ないもんねー」


つーかあれは確かてめぇが真冬にプールに突き落としたのが原因じゃねえか!と思い出したのか叫び出す。しかし身体にすぐに反動が返って咳き込む。バカだな、治りかけとはいえ病人なのに。


「げほげほっ」

「あーあー、もう、いきなり怒るからー」

「だ、れのせいだ…けほっ」

「シズちゃんが勝手に怒ったんじゃん」

「てめえ…マジで帰れよ」


移して俺のせいとかいわれたくねーし、とか言いながらその手は俺のコートの裾を握っている。
もしもーし?言動と行動が矛盾してますよ?本当にこういうところがさ、あれだよね。



「可愛いよなぁ……」


……あれ。
俺、い、今…何て……、いや、聞こえてないよね?
無意識で呟いてしまった言葉を、頭の中で繰り返す。やってしまった。

恐る恐るシズちゃんを見ると、目を泳がせて俯いていて、その顔はさっき以上に真っ赤だ。どうしよう、絶対に聞かれた。


「…………ええっと…」

「……な、なんだよ」


あぁもう、顔が熱い、絶対にシズちゃんの風邪が移ったよ。


もうどうにでもなれ、と長年隠してた気持ちを告白するまであと2分58秒、真っ赤になりながらも応えてくれるまであと3分27秒。
本当に風邪が移って、シズちゃんが見舞いに来てくれるまで、あと14時間。





















それは多分恋の病
(一生治りません)