それは初めて会った時から抱えていた。




俺の愛は人間という興味深い生き物に向けられるべきものであって、平和島静雄は人間ではない、つまりは俺の愛の対象外だ。


出会い頭から殺し合う関係になった俺達だけど、俺は思考回路以外は至って普通の人間だから正攻法では全く敵わないのは知っている。
だから俺のやり方で彼を潰す事にした。



俺はそれを眺めるだけ。
いつも蚊帳の外に居たい俺らしい方法。卑怯だと蔑まれても構わない、だってまだ死にたくないからね。



ボロボロになった人間を見下ろして泣きそうな顔をする彼は凄く憐れで滑稽だった。その力の影響から寂しい生き物だったのは容易に想像がつく。新羅のような人間ばかりが居るわけがない、ずっと一人だったのだろう、悲しみを堪えて傷付いたような表情が何故か可愛いと思えた。



俺の愛する人間になりたがる寂しい化け物、でも人間になってもらったら困るんだ。俺は君を他の人間と同じように愛せない。


人間は進化を続ける生き物だけど、彼が人間になる事はつまり退化だ。そんな事は絶対に赦せない。



俺が彼に向ける感情は、憎悪と嘲笑とほんの少しの執着心。

だから長い間ずっと燻り続けている火種のようなこの不明瞭な感情は、殺し合ううちにいつか分かる気がする、そう自分に言い聞かせるように歪んだ愛と矛盾を抱えて今日も池袋へと向かう。
























知らないふりして溺れてく
(そうして深みに嵌まってく)






傀儡様へ。